【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
◆◆◆

「水族館、ですか……?」
「はい。ここから少し遠いんですけれど、門限までには帰ってこられますよ」

 朝食を終えてから、ブレンさまがそんなことを言い出した。

 水族館……オープニングセレモニーのときに行った覚えはあるけれど、館内を歩いた覚えはない。

 セレモニーが終わるとすぐに公爵邸に戻った。勉強が待っていたから……

「混んでいるのでは?」
「混んでいるだろうね、ゆっくりは見られないかもしれないけれど……魚、嫌い?」
「嫌いというよりも、わたくしたちがそんなところにいて大丈夫かしら……?」
「四人で一緒に行動してれば大丈夫じゃないかな?」

 わたくしたちに共通することはなにもない。かろうじてマティス殿下という共通点が……あ、ブレンさまにはないわね。

「マティス殿下にお土産を買っていけばいいさ。偶然会ったことにして」
「……中々、ハードルが高くないかしら……?」
「大丈夫、大丈夫」

 大らかというかなんというか……。でも、うん……水族館、見たことがないから楽しみだわ。

 マティス殿下には、嫌がらせに大きなぬいぐるみでも買っていこうかしら?

 マーセルからのお土産、どんな顔で受け取るのかしらね。
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