【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
「……読ませてもらうわね」

 手紙を受け取って、わたくしは目を通した。

 内容は学園生活を楽しんでいますか? という言葉から始まり、マーセルの体調を心配していたり、勉強についていけているかを心配したり、親しい友人ができたかを気にしていたり……マーセルのことを、本当に大切に思っているのが伝わってきた。男爵家のことも書き(つづ)られた五枚の手紙を読み終えて、誰にも聞こえないように小さく息を吐く。

「この手紙は、マーセルの部屋の机の引き出しに入れておくわね」
「……はい」

 それから、みんなで今後のことについて話し合った。そのうちに、マティス殿下とレグルスさまの一騎打ちのことが話題に上がった。

「魔術師学科でもすごく噂になっていました……」
「傭兵学科もですよ! 僕はレグルス殿下に賭けました!」

 ……まさか身近に賭けをしている人がいるとは……

「ちなみにレグルスさまが負けるという予想のほうが多いので、がんばってくださいね!」
「人で遊ぶなよ……」
「……レグルスさまには言われたくありませんねぇ……」

 お茶を飲みながら、そんなことを言い合う彼らに、わたくしたちは思わず笑ってしまった。
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