【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
「それじゃあ、今度はマーセル嬢の家に訪問、か」
「ええ、今度の休日に。……マーセル、貴女、抜け出せる……?」
「あ、それなら私が迎えに行きます。公爵たちをうまく誤魔化してみせますよ!」

 クロエが自身の胸元に手を置いて、力強い言葉を発した。

「なら、クロエに任せるわ。マーセル、時間は?」
「じっくり話し合いたいので、午前中にしましょう」
「なら、手土産にたくさんなにか持っていきましょうー」
「ただ単に、食べたいだけじゃないか、お前は……」

 ぽんぽんと会話が弾む。

 こんなふうに会話ができるようになったのも、マーセルの身体に入ってからだわ。

 逆に、マーセルは今、会話を楽しむこともできないのだろう。

 公爵邸で親切にしてくれたのはメイドたちだけ。そのメイドたちとも、雑談はあまりしたことがないもの……

「それでは、今度の休日に」

 わたくしの言葉に、全員がうなずいた。

 ――マーセルのご両親――つまりは、わたくしの実の両親――とは、会話をした記憶があまりない。

 ……いったい、どんな方々なのかしら……?
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