【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
……大量の荷物を抱えて。
「……あの、いったいなにをそんなに……?」
ぽかんと口を開けてその大量の荷物を眺めて、マーセルが首をかしげた。
そうね、マーセルは知らないものね。
「美味しそうなものを集めてきましたー」
その大量の荷物のほとんどが、おそらくブレンさまの胃に入ることになることを。
「それじゃあ、マーセル嬢のおうちまでお願いしますー」
ブレンさまが御者に声をかけると、馬車が再び走り出す。
マーセルの家には、それから三十分もしないうちについた。
……とても広い屋敷で驚いたわ。
明るいクリーム色の外壁に、夕日色の屋根。
ここで、マーセルは育ったのね。ちらりと彼女を見ると、切なそうに目元を細めて見つめていた。
玄関前まで馬車で送ってもらい、馬車を降りると勢いよく扉が開く。
「マーセル!」
出てきたのは、ストロベリーブロンドの女性。マーセルの名を呼び、抱きついてきた。
「寮に入ってからめっきり会えなくなって、寂しかったのよ。元気に暮らしているのよね? あら、ちょっとやつれたんじゃない? 大丈夫?」
心配そうに眉を下げて、ぺたぺたと頬を触る。――この人がマーセルの母……いえ、『わたくし』の母なのね。
「こらこら、オリヴィエ。お客さまたちが驚いているよ」
「……あらっ、ごめんなさい。久しぶりに娘に会えたから、嬉しくて。初めまして、マーセルの母のオリヴィエ・カースティンと申します」
わたくしから離れ、すっとカーテシーをしてから顔を上げ、柔らかく微笑んだ。
「……あの、いったいなにをそんなに……?」
ぽかんと口を開けてその大量の荷物を眺めて、マーセルが首をかしげた。
そうね、マーセルは知らないものね。
「美味しそうなものを集めてきましたー」
その大量の荷物のほとんどが、おそらくブレンさまの胃に入ることになることを。
「それじゃあ、マーセル嬢のおうちまでお願いしますー」
ブレンさまが御者に声をかけると、馬車が再び走り出す。
マーセルの家には、それから三十分もしないうちについた。
……とても広い屋敷で驚いたわ。
明るいクリーム色の外壁に、夕日色の屋根。
ここで、マーセルは育ったのね。ちらりと彼女を見ると、切なそうに目元を細めて見つめていた。
玄関前まで馬車で送ってもらい、馬車を降りると勢いよく扉が開く。
「マーセル!」
出てきたのは、ストロベリーブロンドの女性。マーセルの名を呼び、抱きついてきた。
「寮に入ってからめっきり会えなくなって、寂しかったのよ。元気に暮らしているのよね? あら、ちょっとやつれたんじゃない? 大丈夫?」
心配そうに眉を下げて、ぺたぺたと頬を触る。――この人がマーセルの母……いえ、『わたくし』の母なのね。
「こらこら、オリヴィエ。お客さまたちが驚いているよ」
「……あらっ、ごめんなさい。久しぶりに娘に会えたから、嬉しくて。初めまして、マーセルの母のオリヴィエ・カースティンと申します」
わたくしから離れ、すっとカーテシーをしてから顔を上げ、柔らかく微笑んだ。