【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
カースティン家の食堂で。
「まずは、自己紹介をさせてください。リンブルグから留学したレグルスと」
「ブレンと申しますー」
レグルスさまが口を開き、自己紹介を始めた。オリヴィエさまとノランさまは「ああ!」という顔をして、小さくうなずく。
「お噂はかねがね。リンブルグの王太子……だったか?」
「はい。よろしくお願いします」
「こちらこそ」
にこやかな挨拶を交わして、ノエルさまの視線がクロエと『カミラ』に移る。クロエは自分の胸元に手を当てた。
「マティス殿下の主治医の一人、クロエと申します」
「ああ、平民の……」
ノランさまがぽつりとつぶやく。そのつぶやきにクロエは笑みを浮かべて、「はい、そうです」と胸を張って答える。
……強い、わね。
「――それと……」
「カミラ・リンディ・ベネット公爵令嬢ですわ」
――わざと、わたくしが紹介した。ぱぁっと表情が明るくなったのはオリヴィエさまだけで、ノランさまは一瞬表情を強張らせた。
でも、本当に一瞬だけ。
……どうやら、わたくしたちのトレードを知っているのは、ノランさまだけのようね。
「――元気に過ごしていましたか? カミラさま」
「え、ええ……まぁ……」
そっと視線を外す『カミラ』。それを不思議そうに見るオリヴィエさま。
ノランさまはこほんと一度咳払いをしてから、メイドたちを呼んでいろいろなものを用意する。お茶やお茶菓子、軽食も。
目をキラキラと輝かせるブレンさまに、レグルスさまは「こいつは……」とどこか呆れたように息を吐く。
「ブレンと申しますー」
レグルスさまが口を開き、自己紹介を始めた。オリヴィエさまとノランさまは「ああ!」という顔をして、小さくうなずく。
「お噂はかねがね。リンブルグの王太子……だったか?」
「はい。よろしくお願いします」
「こちらこそ」
にこやかな挨拶を交わして、ノエルさまの視線がクロエと『カミラ』に移る。クロエは自分の胸元に手を当てた。
「マティス殿下の主治医の一人、クロエと申します」
「ああ、平民の……」
ノランさまがぽつりとつぶやく。そのつぶやきにクロエは笑みを浮かべて、「はい、そうです」と胸を張って答える。
……強い、わね。
「――それと……」
「カミラ・リンディ・ベネット公爵令嬢ですわ」
――わざと、わたくしが紹介した。ぱぁっと表情が明るくなったのはオリヴィエさまだけで、ノランさまは一瞬表情を強張らせた。
でも、本当に一瞬だけ。
……どうやら、わたくしたちのトレードを知っているのは、ノランさまだけのようね。
「――元気に過ごしていましたか? カミラさま」
「え、ええ……まぁ……」
そっと視線を外す『カミラ』。それを不思議そうに見るオリヴィエさま。
ノランさまはこほんと一度咳払いをしてから、メイドたちを呼んでいろいろなものを用意する。お茶やお茶菓子、軽食も。
目をキラキラと輝かせるブレンさまに、レグルスさまは「こいつは……」とどこか呆れたように息を吐く。