【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
明かされた事実。
「ねえ、あなた、これはどういうことなの? なにか言ってよ……ッ!」
涙声のオリヴィエさまに、ノランさまはぐっと唇を噛み締めて、目を伏せた。
「……陛下から、頼まれたんだ」
「……え?」
「きみと、ベネット公爵夫人の妊娠はほぼ同時だったろう。生まれた子を取り替えよう、と陛下に頼まれて……公爵家の令嬢だからと多額の金貨をくださった。陛下は、どうしてもきみの子どもがほしいと言っていた。自分の養子に迎えるわけにはいかないから、生まれたばかりのマティス殿下と婚約をさせると……そうすることで、きみの家系の血を王家に入れることができる、と……」
明かされた真実に、オリヴィエさまはふっと身体から力を抜いて、その場に座り込んだ。
「お母さま!」
マーセルが慌てて彼女に駆け寄り、その手を取ろうとして――オリヴィエさまがパシンと彼女の手を拒絶した。そのことに驚いたのか、ノランさまが「オリヴィエ!」と声を荒げる。
「マーセルは知らなかったことなんだ。お前のことを本当の母だと慕い、ずっと暮らしていた。悪いのは、多額の金貨に目がくらんだ私なんだ……!」
「そして、それを言えないようにした陛下ですねー」
「しかしまぁ……回りくどいやり方だなぁ……」
レグルスさまがぽつりと言葉をこぼす。
わたくしも、そう思うわ。
……でも、確かにこの国の在り方なら、殿下の婚約者に男爵令嬢は選ばないでしょうね。
陛下はそれをわかっていたから、そんなことを提案したの……?
聞いてみないとわからないことだけど……
涙声のオリヴィエさまに、ノランさまはぐっと唇を噛み締めて、目を伏せた。
「……陛下から、頼まれたんだ」
「……え?」
「きみと、ベネット公爵夫人の妊娠はほぼ同時だったろう。生まれた子を取り替えよう、と陛下に頼まれて……公爵家の令嬢だからと多額の金貨をくださった。陛下は、どうしてもきみの子どもがほしいと言っていた。自分の養子に迎えるわけにはいかないから、生まれたばかりのマティス殿下と婚約をさせると……そうすることで、きみの家系の血を王家に入れることができる、と……」
明かされた真実に、オリヴィエさまはふっと身体から力を抜いて、その場に座り込んだ。
「お母さま!」
マーセルが慌てて彼女に駆け寄り、その手を取ろうとして――オリヴィエさまがパシンと彼女の手を拒絶した。そのことに驚いたのか、ノランさまが「オリヴィエ!」と声を荒げる。
「マーセルは知らなかったことなんだ。お前のことを本当の母だと慕い、ずっと暮らしていた。悪いのは、多額の金貨に目がくらんだ私なんだ……!」
「そして、それを言えないようにした陛下ですねー」
「しかしまぁ……回りくどいやり方だなぁ……」
レグルスさまがぽつりと言葉をこぼす。
わたくしも、そう思うわ。
……でも、確かにこの国の在り方なら、殿下の婚約者に男爵令嬢は選ばないでしょうね。
陛下はそれをわかっていたから、そんなことを提案したの……?
聞いてみないとわからないことだけど……