【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
「わたくしもマーセルも、あなた方に振り回された……ということは確定ですわね」
自分が思っている以上の、冷たい声。
陛下がオリヴィエさまの血筋を王家に入れたい――または、神聖力を持つ者を王家に入れたいという理由で、トレードされたということなの?
そんな理由で、わたくしはあの血がにじむような努力を強いられていたということなの?
そんな、そんなのって……!
ぐっと拳を握りしめて震わせていると、レグルスさまがぽんぽんと優しく肩を叩いてくれた。
まるで、「落ち着け」と伝えるように……
数回深呼吸を繰り返し、わたくしはレグルスさまを見上げた。彼の表情はとても柔らかく、その笑みを見るだけでなぜか心が安堵した。
――わたくし、きっと、彼に惹かれているんだわ――……
マティス殿下には感じなかった感情。この感情をきっと『恋』というのだろう。
「ブレンさま。わたくしとマーセルのトレードは、これで終わりでしょうか?」
「はい。鎖は完璧に解きました。もうあなたたちの中身が入れ替わることはないでしょう」
「中身が、入れ替わる……?」
自分が思っている以上の、冷たい声。
陛下がオリヴィエさまの血筋を王家に入れたい――または、神聖力を持つ者を王家に入れたいという理由で、トレードされたということなの?
そんな理由で、わたくしはあの血がにじむような努力を強いられていたということなの?
そんな、そんなのって……!
ぐっと拳を握りしめて震わせていると、レグルスさまがぽんぽんと優しく肩を叩いてくれた。
まるで、「落ち着け」と伝えるように……
数回深呼吸を繰り返し、わたくしはレグルスさまを見上げた。彼の表情はとても柔らかく、その笑みを見るだけでなぜか心が安堵した。
――わたくし、きっと、彼に惹かれているんだわ――……
マティス殿下には感じなかった感情。この感情をきっと『恋』というのだろう。
「ブレンさま。わたくしとマーセルのトレードは、これで終わりでしょうか?」
「はい。鎖は完璧に解きました。もうあなたたちの中身が入れ替わることはないでしょう」
「中身が、入れ替わる……?」