【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
「パーティーには家族も呼べますもの。レグルスさまとマティス殿下の一騎打ちも余興の一つとして扱われるでしょう。……そのときに、考えていることがありますの」
「考えていること、ですか?」
「ええ。まだ詳しくは教えられませんが……。とりあえず、マーセルのことはわたくしにお任せください、カースティン男爵」
最後は意図的に彼を呼んだ。『ノランさま』でも『お父さま』でもなく、『カースティン男爵』と。
彼はわたくしをじっと見つめて――こくりと首を縦に動かした。
「ああ、でも、一つ約束してほしいことが……。わたくしがなにをしても、恨まないでくださいませね」
にこりと笑顔を見せると、カースティン男爵は一瞬びくっと表情を強張らせる。
もう一度満面の笑みを浮かべてから、わたくしはスタスタと早足でその場から去っていく。
――生みの親も、育ての親も、わたくしを愛してはいないみたい、ね。
でも今では……それがありがたかった。わたくしのことを愛していない人に、愛されようと思って過ごしていた今までの人生とは、今日でお別れ。
わたくしは、わたくしのために生きていきたい。
「考えていること、ですか?」
「ええ。まだ詳しくは教えられませんが……。とりあえず、マーセルのことはわたくしにお任せください、カースティン男爵」
最後は意図的に彼を呼んだ。『ノランさま』でも『お父さま』でもなく、『カースティン男爵』と。
彼はわたくしをじっと見つめて――こくりと首を縦に動かした。
「ああ、でも、一つ約束してほしいことが……。わたくしがなにをしても、恨まないでくださいませね」
にこりと笑顔を見せると、カースティン男爵は一瞬びくっと表情を強張らせる。
もう一度満面の笑みを浮かべてから、わたくしはスタスタと早足でその場から去っていく。
――生みの親も、育ての親も、わたくしを愛してはいないみたい、ね。
でも今では……それがありがたかった。わたくしのことを愛していない人に、愛されようと思って過ごしていた今までの人生とは、今日でお別れ。
わたくしは、わたくしのために生きていきたい。