【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
「あら、心配してくださいますの? ……冗談ですわ。そんな顔をなさらないで。わたくしは……レグルスさまとともに生きることを、選びました。止めないでくださいませ。マーセル、ブレンさま、お願いしますね」
「……カミラさま、お気をつけて」
「これ、どうぞ」
ブレンさまがそっとなにかを取り出した。以前見せてくれたお札のようだ。
わたくしが顔を上げて彼を見ると、ブレンさまはにっこりと笑ってうなずいた。差し出されたお札をしっかりとうなずいて、「ありがとうございます」と頭を下げてからレグルスさまのもとに向かう。
パーティー会場内は混乱の最中だ。この場から逃げるように押し寄せる人たちを潜り抜け、グラエル陛下に近付いていく。
グラエル陛下は魔法も使っているみたいで、騎士たちが一丸となって陛下を捕らえようとしているけれど、すべて跳ねのけてしまうみたい。
屈強な肉体を持つ騎士たちが、次々と吹き飛ばされている。そんな中、彼らよりも一回り細いレグルスさまが陛下の魔法を耐えてしっかりとした足取りで近付いている。彼の背中しか見えないけれど、彼の魔力が揺らめているように視えて、思わず目を擦った。
――魔力がこんなふうに視えるのは、初めてだわ。
レグルスさまの魔力は、オレンジ色でとても優しい感じがした。
「悪いが、カミラ嬢は俺がリンブルグに連れていく」
「させぬ!」
キィィン、と剣と剣がぶつかり合う金属音が耳に届く。
「――残念ながら、あなたに止める権利はないっ!」
「……カミラさま、お気をつけて」
「これ、どうぞ」
ブレンさまがそっとなにかを取り出した。以前見せてくれたお札のようだ。
わたくしが顔を上げて彼を見ると、ブレンさまはにっこりと笑ってうなずいた。差し出されたお札をしっかりとうなずいて、「ありがとうございます」と頭を下げてからレグルスさまのもとに向かう。
パーティー会場内は混乱の最中だ。この場から逃げるように押し寄せる人たちを潜り抜け、グラエル陛下に近付いていく。
グラエル陛下は魔法も使っているみたいで、騎士たちが一丸となって陛下を捕らえようとしているけれど、すべて跳ねのけてしまうみたい。
屈強な肉体を持つ騎士たちが、次々と吹き飛ばされている。そんな中、彼らよりも一回り細いレグルスさまが陛下の魔法を耐えてしっかりとした足取りで近付いている。彼の背中しか見えないけれど、彼の魔力が揺らめているように視えて、思わず目を擦った。
――魔力がこんなふうに視えるのは、初めてだわ。
レグルスさまの魔力は、オレンジ色でとても優しい感じがした。
「悪いが、カミラ嬢は俺がリンブルグに連れていく」
「させぬ!」
キィィン、と剣と剣がぶつかり合う金属音が耳に届く。
「――残念ながら、あなたに止める権利はないっ!」