【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
船に乗り、リンブルグへ向かう。陸地とは違い足元が心もとない感じがして、レグルスさまにエスコートをされていなかったら、きっと歩くのももっと遅かっただろうなと苦笑を浮かべる。
クロエもブレンさまにエスコートをされて、なんとか船の中を歩いている。その足が少し震えていたけれど、彼女は気丈に振る舞っていたから、気付かないふりをした。
「もしかして、船に乗っているのはわたくしたちだけですか?」
こんなに大きな船なのに、まったくお客さんとすれ違わないことに疑問を抱き尋ねると、ブレンさまが「そうですよー」と答える。
こんなに大きな船にわたくしたちだけ、なんて……貸し切りのようね。
「リンブルグの国王が、カミラ嬢とクロエさんに最上級のおもてなしを、と」
「わ、私も?」
「はい。カミラ嬢の侍女として、移住するのですから当然ですよー」
にこにこと微笑みながら、ブレンさまはわたくしとクロエを交互に見た。どこか呆れたように肩をすくめるレグルスさまに首をかしげると、「なんでもないよ」と緩やかに頭を左右に振った。
「あ、そうそう、レグルス殿下。陛下から伝言があったことを思い出しましたー」
「伝言? 陛下から?」
ブレンさまは悪戯っぽく目元を細めて、人差し指を口元に添える。
「『甘い時間を過ごせるかは、そなたにかかっているぞ』……だそうですー」
「あの人は……」
大袈裟に息を吐くレグルスさまに、「きゃあっ」とはしゃぐように頬を赤らめるクロエ。心なしか、目がキラキラと輝いているように見えるわ……
クロエもブレンさまにエスコートをされて、なんとか船の中を歩いている。その足が少し震えていたけれど、彼女は気丈に振る舞っていたから、気付かないふりをした。
「もしかして、船に乗っているのはわたくしたちだけですか?」
こんなに大きな船なのに、まったくお客さんとすれ違わないことに疑問を抱き尋ねると、ブレンさまが「そうですよー」と答える。
こんなに大きな船にわたくしたちだけ、なんて……貸し切りのようね。
「リンブルグの国王が、カミラ嬢とクロエさんに最上級のおもてなしを、と」
「わ、私も?」
「はい。カミラ嬢の侍女として、移住するのですから当然ですよー」
にこにこと微笑みながら、ブレンさまはわたくしとクロエを交互に見た。どこか呆れたように肩をすくめるレグルスさまに首をかしげると、「なんでもないよ」と緩やかに頭を左右に振った。
「あ、そうそう、レグルス殿下。陛下から伝言があったことを思い出しましたー」
「伝言? 陛下から?」
ブレンさまは悪戯っぽく目元を細めて、人差し指を口元に添える。
「『甘い時間を過ごせるかは、そなたにかかっているぞ』……だそうですー」
「あの人は……」
大袈裟に息を吐くレグルスさまに、「きゃあっ」とはしゃぐように頬を赤らめるクロエ。心なしか、目がキラキラと輝いているように見えるわ……