【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
海辺の街で。 2話
船の旅は案外快適だった。
美味しい食事に美しい旋律を奏でる演奏者たち、さらにわたくしたちが快適に過ごせるようにと気を遣ってくださる船員たちのおかげね。
ときどき、海辺の街に寄って観光もした。
「……観光旅行をしている気持ちだわ」
「今まであまり遊んでこなかったんだから、良いんじゃない?」
海辺の街で魚料理を楽しんだり、浜辺で遊んだり、今までできなかったことを一気にしている気持ちになってぽつりとつぶやくと、レグルスさまに声をかけられる。
砂を高く積み上げて、山を作っている子どもたちを見て、わたくしもやってみたくなって同じことをしているときに、だ。
びっくりして肩を震わせると、レグルスさまはくすりと笑ってわたくしの隣にしゃがみ込む。
「山?」
「え、ええ。あの子たちが作っているのを見て、やってみたくなって……」
子どもたちはキャッキャと楽しそうに砂を積み重ねて山を作り、真ん中に穴を開けようとしている。その姿を見ていたレグルスさまが、わたくしの作っている山に砂を積み上げだした。
「子どもたちは三人で作っているし、俺もカミラ嬢の山を作るの、一緒にしてもいい?」
「ふふ、もちろんですわ」
もくもくと山になるように砂を積み上げるわたくしたち。こんなふうに砂を触ったこと、あったかしら? 今までの人生を思い出して、眉を下げる。
「どうした?」
「こうして遊んでいるのが、とても不思議な感じがして……」
美味しい食事に美しい旋律を奏でる演奏者たち、さらにわたくしたちが快適に過ごせるようにと気を遣ってくださる船員たちのおかげね。
ときどき、海辺の街に寄って観光もした。
「……観光旅行をしている気持ちだわ」
「今まであまり遊んでこなかったんだから、良いんじゃない?」
海辺の街で魚料理を楽しんだり、浜辺で遊んだり、今までできなかったことを一気にしている気持ちになってぽつりとつぶやくと、レグルスさまに声をかけられる。
砂を高く積み上げて、山を作っている子どもたちを見て、わたくしもやってみたくなって同じことをしているときに、だ。
びっくりして肩を震わせると、レグルスさまはくすりと笑ってわたくしの隣にしゃがみ込む。
「山?」
「え、ええ。あの子たちが作っているのを見て、やってみたくなって……」
子どもたちはキャッキャと楽しそうに砂を積み重ねて山を作り、真ん中に穴を開けようとしている。その姿を見ていたレグルスさまが、わたくしの作っている山に砂を積み上げだした。
「子どもたちは三人で作っているし、俺もカミラ嬢の山を作るの、一緒にしてもいい?」
「ふふ、もちろんですわ」
もくもくと山になるように砂を積み上げるわたくしたち。こんなふうに砂を触ったこと、あったかしら? 今までの人生を思い出して、眉を下げる。
「どうした?」
「こうして遊んでいるのが、とても不思議な感じがして……」