【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
「お母さまは……」
「……ええ」
その一言だけですべてを悟ることができる。
お母さまは『マーセル』を閉じ込めたみたいね。今日はきっと学園に登校できないでしょう。
あの部屋に入ると、お母さまの機嫌が直るか、言われたことをすべて終わらせないと出られないから。
「『マーセル』が泣いていました。こんなの聞いていないって。あと、婚約を白紙にする話は却下されたそうです」
「でしょうね」
生まれる前からの婚約だ。そう簡単に覆るものではないでしょう。
でも、がんばりなさい、『マーセル』。貴女の評判はわたくしが上げるから、マティス殿下とベネット公爵家から、わたくしを解放してちょうだい。
「それにしても、良く知っていたわね」
「……昨日、マティス殿下に言われて、ベネット邸まで行きましたから」
「そうだったの。……ねえ、クロエ。このトレードは、いつ終わるかしら?」
「それは、なんとも言えません……」
そうよね。わたくしにだってわからない。とりあえず、マーセルの評判を上げるために、凛とした佇まいで過ごしましょう。
「……カミラさま。カミラさまは、なにか……夢があるのでしょうか?」
「あら、いきなりどうしたの?」
「……いえ、考えてみれば、カミラさまのことを『マティス殿下の婚約者』であることしか知らないと気付きまして。こういうのもなんですが、知りたいんです。カミラさま自身のことを」
「ふふ、わたくしに興味を持ってくれたのは、クロエで二人目ね」
「……ええ」
その一言だけですべてを悟ることができる。
お母さまは『マーセル』を閉じ込めたみたいね。今日はきっと学園に登校できないでしょう。
あの部屋に入ると、お母さまの機嫌が直るか、言われたことをすべて終わらせないと出られないから。
「『マーセル』が泣いていました。こんなの聞いていないって。あと、婚約を白紙にする話は却下されたそうです」
「でしょうね」
生まれる前からの婚約だ。そう簡単に覆るものではないでしょう。
でも、がんばりなさい、『マーセル』。貴女の評判はわたくしが上げるから、マティス殿下とベネット公爵家から、わたくしを解放してちょうだい。
「それにしても、良く知っていたわね」
「……昨日、マティス殿下に言われて、ベネット邸まで行きましたから」
「そうだったの。……ねえ、クロエ。このトレードは、いつ終わるかしら?」
「それは、なんとも言えません……」
そうよね。わたくしにだってわからない。とりあえず、マーセルの評判を上げるために、凛とした佇まいで過ごしましょう。
「……カミラさま。カミラさまは、なにか……夢があるのでしょうか?」
「あら、いきなりどうしたの?」
「……いえ、考えてみれば、カミラさまのことを『マティス殿下の婚約者』であることしか知らないと気付きまして。こういうのもなんですが、知りたいんです。カミラさま自身のことを」
「ふふ、わたくしに興味を持ってくれたのは、クロエで二人目ね」