〜Midnight Eden〜 episode3.【夏霞】
現時点で把握できている栞里の行動は7月26日の午前から午後にかけて大学で授業を受け、15時に表参道の美容室に来店。
母親の話では17時頃に夕食を外で食べてくると連絡があったきり、栞里は27日の夜になっても帰って来なかった。町田市に住む姉も栞里の所在を知らなかった。
町田の姉に会いに行ったのでもなく、栞里が家出する心当たりもない。28日に両親は最寄りの警察署に捜索願いを出している。
栞里のインスタグラムも、ほぼ毎日更新されていた写真の投稿が26日を境に途切れていた。
そうして沈黙の日々が過ぎた7月29日の夜、突如投稿されたのがこのアートされた死体写真だった。
『この写真はインスタグラムのストーリーズと呼ばれる機能で投稿されたものだ。ストーリーズの説明は伊東、頼む』
『はい。まずはインスタグラムの説明ですが……』
上野に代わって伊東警部補がインスタグラム内に導入された24時間で投稿が消えるストーリーズのシステムを手短に説明する。
最近はSNSを利用した犯罪が横行している。そのたびに各種SNSの説明が為されているため、SNS利用者ではない刑事達にもシステムの基礎知識は備わっていた。
栞里のインスタグラムのフォロワー数は一万九千人。彼女はマイクロインフルエンサーと呼ばれる立場にあり、何かと注目を集める存在だったようだ。
話の主導権は伊東からまた上野に引き継がれる。
『ストーリーズに投稿された写真は24時間で自然に消えるが、不適切な投稿としてインスタグラム側が24時間が経つ前に削除した。だが、栞里のフォロワー数を考えると削除される前にこの写真を閲覧した人数は一万人を越える。おまけに、写真はスクリーンショットが撮られてツイッターなどで拡散が止まらない状態だ』
上野の指示通りにタブレット端末の画面をツイッターに切り替える。ツイッターの検索画面にハッシュタグで〈#死体風アート〉と入力すると、先ほどの鳴沢栞里の死体写真のスクリーンショット画像を載せているツイートが山ほど検索できた。
他にも〈#死体のフリ #死装束フォト〉など冗談半分の不謹慎な言葉遊びのハッシュタグが作られ、栞里の写真は今なお拡散を続けている。
『元ネタを削除しても、スクショが出回ったら拡散は止められないよな』
「ツイッターで拡散している人達もこれが本物の死体だとは思っていないようね。一目で死体だとわかるのは医療関係者かな」
『本物の死体だと思っているのは、警察やインスタ側に通報した一部の人間だけか』
美夜も九条も、集まる刑事達もSNSによる写真や動画の拡散には幾度も頭を悩まされている。
スマートフォンの普及に伴うスクリーンショット文化とSNS利用率の増加、話題性のある事柄にすぐに飛び付く人間の野次馬根性は犯罪捜査を行う警察には厄介な代物だ。
母親の話では17時頃に夕食を外で食べてくると連絡があったきり、栞里は27日の夜になっても帰って来なかった。町田市に住む姉も栞里の所在を知らなかった。
町田の姉に会いに行ったのでもなく、栞里が家出する心当たりもない。28日に両親は最寄りの警察署に捜索願いを出している。
栞里のインスタグラムも、ほぼ毎日更新されていた写真の投稿が26日を境に途切れていた。
そうして沈黙の日々が過ぎた7月29日の夜、突如投稿されたのがこのアートされた死体写真だった。
『この写真はインスタグラムのストーリーズと呼ばれる機能で投稿されたものだ。ストーリーズの説明は伊東、頼む』
『はい。まずはインスタグラムの説明ですが……』
上野に代わって伊東警部補がインスタグラム内に導入された24時間で投稿が消えるストーリーズのシステムを手短に説明する。
最近はSNSを利用した犯罪が横行している。そのたびに各種SNSの説明が為されているため、SNS利用者ではない刑事達にもシステムの基礎知識は備わっていた。
栞里のインスタグラムのフォロワー数は一万九千人。彼女はマイクロインフルエンサーと呼ばれる立場にあり、何かと注目を集める存在だったようだ。
話の主導権は伊東からまた上野に引き継がれる。
『ストーリーズに投稿された写真は24時間で自然に消えるが、不適切な投稿としてインスタグラム側が24時間が経つ前に削除した。だが、栞里のフォロワー数を考えると削除される前にこの写真を閲覧した人数は一万人を越える。おまけに、写真はスクリーンショットが撮られてツイッターなどで拡散が止まらない状態だ』
上野の指示通りにタブレット端末の画面をツイッターに切り替える。ツイッターの検索画面にハッシュタグで〈#死体風アート〉と入力すると、先ほどの鳴沢栞里の死体写真のスクリーンショット画像を載せているツイートが山ほど検索できた。
他にも〈#死体のフリ #死装束フォト〉など冗談半分の不謹慎な言葉遊びのハッシュタグが作られ、栞里の写真は今なお拡散を続けている。
『元ネタを削除しても、スクショが出回ったら拡散は止められないよな』
「ツイッターで拡散している人達もこれが本物の死体だとは思っていないようね。一目で死体だとわかるのは医療関係者かな」
『本物の死体だと思っているのは、警察やインスタ側に通報した一部の人間だけか』
美夜も九条も、集まる刑事達もSNSによる写真や動画の拡散には幾度も頭を悩まされている。
スマートフォンの普及に伴うスクリーンショット文化とSNS利用率の増加、話題性のある事柄にすぐに飛び付く人間の野次馬根性は犯罪捜査を行う警察には厄介な代物だ。