〜Midnight Eden〜 episode3.【夏霞】
「……伶くん。私の友達で同じ大学の芹沢小夏って子覚えてる? 去年ミスコン出た時も色々と手伝ってくれてた……」
『ああ……あの背の小さい子だろ?』
「うん、そう」
入り口の前で入場の順番を待つ間、愛佳は心に溜めていた感情を少しずつ外に吐き出した。
『その子と喧嘩でもした?』
「喧嘩じゃないよ。だけど小夏が匿名の掲示板に私の悪口書いてる気がするんだ。小夏じゃないと知らないような私の情報が掲示板に書かれているの」
舞のインスタグラムのアカウントの書き込みをしたのは小夏だろう。愛佳が舞とインスタグラムで繋がりを持っていると知る友人は小夏だけだ。
『友達のフリして裏で悪口言う人間はいるよな。ネットでしか強気になれない奴の言うことなんか気にするなよ』
「……そうだね。もう気にしないっ!」
『そうそう。愛佳は前向きに笑ってる方が可愛いよ』
伶に優しく微笑まれると心臓の奥が甘く痛む。
伶は常に堂々としている。誰に何を言われても伶の涼しげな顔色は変わらない。
そんな彼に釣り合う女になりたかった。
ロビーを抜けて展示室に一歩足を踏み入れると、そこは幻想的な水と花とアートの世界。メインテーマは百花繚乱。
五千匹の金魚と豪華絢爛な花の共演をひとつひとつ様式の異なる水槽アートで楽しめる。
一階フロアの展示室に広がる光景に伶が感嘆の声を漏らした。
最初のエリアのテーマは春の庭。水槽の形は丸みを帯びた物が多く、装飾の花も白やピンクを基調とする可愛らしい花が生けられていた。
『これは凄いな。金魚の種類や水槽のテーマに合わせて花の生け方や品種も変えてるのか。花はプリザーブドフラワーだね』
「凄いでしょう? お花が好きな伶くんを絶対に連れて来たかったんだ」
プレオープンにインフルエンサーが招待された理由はアクアドリームをインスタ映えスポットとして各自のインスタグラムでPRしてもらうため。
「伶くん写真撮ってもらっていい? 招待客はここで撮った写真をインスタに載せて宣伝する役目があるの」
『いいよ』
水槽の横に立つ愛佳に伶がスマートフォンを向ける。伶がシャッターを押したと同時にあちらこちらで似た音が聴こえた。
館内にいる誰もが人や金魚にスマートフォンを向け、今を切り取ろうと躍起になる。どこを見てもスマホ、スマホ、スマホ。
『ああ……あの背の小さい子だろ?』
「うん、そう」
入り口の前で入場の順番を待つ間、愛佳は心に溜めていた感情を少しずつ外に吐き出した。
『その子と喧嘩でもした?』
「喧嘩じゃないよ。だけど小夏が匿名の掲示板に私の悪口書いてる気がするんだ。小夏じゃないと知らないような私の情報が掲示板に書かれているの」
舞のインスタグラムのアカウントの書き込みをしたのは小夏だろう。愛佳が舞とインスタグラムで繋がりを持っていると知る友人は小夏だけだ。
『友達のフリして裏で悪口言う人間はいるよな。ネットでしか強気になれない奴の言うことなんか気にするなよ』
「……そうだね。もう気にしないっ!」
『そうそう。愛佳は前向きに笑ってる方が可愛いよ』
伶に優しく微笑まれると心臓の奥が甘く痛む。
伶は常に堂々としている。誰に何を言われても伶の涼しげな顔色は変わらない。
そんな彼に釣り合う女になりたかった。
ロビーを抜けて展示室に一歩足を踏み入れると、そこは幻想的な水と花とアートの世界。メインテーマは百花繚乱。
五千匹の金魚と豪華絢爛な花の共演をひとつひとつ様式の異なる水槽アートで楽しめる。
一階フロアの展示室に広がる光景に伶が感嘆の声を漏らした。
最初のエリアのテーマは春の庭。水槽の形は丸みを帯びた物が多く、装飾の花も白やピンクを基調とする可愛らしい花が生けられていた。
『これは凄いな。金魚の種類や水槽のテーマに合わせて花の生け方や品種も変えてるのか。花はプリザーブドフラワーだね』
「凄いでしょう? お花が好きな伶くんを絶対に連れて来たかったんだ」
プレオープンにインフルエンサーが招待された理由はアクアドリームをインスタ映えスポットとして各自のインスタグラムでPRしてもらうため。
「伶くん写真撮ってもらっていい? 招待客はここで撮った写真をインスタに載せて宣伝する役目があるの」
『いいよ』
水槽の横に立つ愛佳に伶がスマートフォンを向ける。伶がシャッターを押したと同時にあちらこちらで似た音が聴こえた。
館内にいる誰もが人や金魚にスマートフォンを向け、今を切り取ろうと躍起になる。どこを見てもスマホ、スマホ、スマホ。