lavender girl 【あの日の君を探して】
夕方近くなってアパートに帰ってきた俺は古ぼけた畳の上に体を投げ出して天井を仰いだ。
でもジーパンのポケットに何か入っている。 (何だろう?)
そう思って手を突っ込んでみる。 引っ張り出した物は真理子が付けていたブラだった。
(おいおい、こんなんで俺を釣ろうってか?) 呆れ返ってはみたが、どうも真理子を忘れられなくなっているのも事実である。
「やられたな?」 あの時、吉永さんはそう言って笑っていた。
「女なんてなあ、一晩限りのオアシスみたいなもんや。 溺れたらやられるぞ。」 帰りの電車の中でも吉永さんは俺にそう言った。
俺はというとポケットから取り出したブラを机の引き出しに放り込んでその場は何とかごまかそうと懸命にもがいている。
しかし抱いた時のあの感触はなかなか忘れられなくてまたブラを取り出してはボーっと見詰めていたりする。
財布を入れているポシェットの中を掻き回していると小さな紙が出てきた。
『お兄さん すごく良かったわ。 悶々としてたからすっきりしちゃった。
次はお一人で遊びに来てね。
今回よりももっとサービスするから必ず来てね。
真理子』
その下には家電らしい番号が書かれている。 俺は一瞬唾を飲み込んだ。
「来てね。」って言われてもいったいいくら払ったのか吉永さんにも聞いてないんだ。 いったいいくらなんだろう?
大阪へ来て半年。 やっと仕事にありつけた段階でやっとのことで給料を貰っている俺には想像すら出来なかった。
お泊り宿といってもあれでは、、、。 考えてみたって分かるわけが無い。
これまで遊んだことも無ければ女を抱いたことすら無い俺には、、、。
たまの気休めに清美に手紙を書いてみる。 でも忙しいからなのか、返事は来たことが無い。
新聞社の記者室には女の子も何人か居て話そうと思えば話せるのだが外勤が多くてじっとしていることが無いもんだから未だに話したことが無い。
夜中になると近くの販売機を覗いていたりする。 スモークが掛かっていてよくは見えないが本を売っているらしい。
雨が降っていた水曜日の夜、俺は思い切ってその本を買ってきた。 (何なんだろう?)
表紙を捲ってみる。 いきなりの全裸写真だ。 その一枚で俺は夢の中へ飛び込んでしまった。
ここ数日、妙なくらいに空白感を感じていたんだ。 原因が何か分からなかったのだけど、やっぱりこれだったんだな。
それからは食い入るような眼で1ページずつ捲っていく。 柱に縛られた女が居る。
ベッドの上で絡み合っている女が居る。 布団に投げ出された女が居る。
どれもこれも俺には刺激が強過ぎたらしい。 新世界を目の当たりにした気がした。
さてさて水曜日。 吉永さんは朝から記者会見で入れ込んでいて次の仕事が捌けない。 「お前 俺の代わりに行ってくれへんか?」
「いいんですか? 俺なんかで、、、。」 「これも修行や。 行って来い。」
「分かりました。」 「ポイントはこれに書いてあるからな。」
吉永さんは2枚のメモを俺にくれた。 行き先は北大阪ダイヤモンドホテル。
しかも会見を開く相手はキャシー花岡。 (何処かで聞いたことが有るぞ。)
何とか思い出そうとするのだがなかなか思い出せないでいる。 会見時間は午後2時。
会社の車で会場へ向かうことになっているから駐車場へ、、、。 「よし。 行こうか。」
先輩と二人で車に乗る。 「何 緊張してるんだよ?」
「いや、今回が初めてだから。」 「そっか。 お前まだやっとらんかったんかい。」
「そうです。 吉永さんの付き人になってたから。」 「付き人なあ。 おもろいこと言うやんか。」
朝日放送の番組を聞きながら車は走っている。 「今日も混んどるなあ。 どんくさいのが多いからなあ。 迷惑やで。」
「そんなん言うてもしゃあないですやんか。」 「そらそうやろうけど、こいつは受け入れられんわ。」
なかなかの混雑ぶりである。 御堂筋を貫けるのも大変らしい。
「どっかで飯食うてから行こうか。」 「そんな時間有ります?」
「腹が減っては戦は出来ん。 食うべし。」 「分かりました。」
そんなわけで途中で見付けたファミレスに飛び込んで昼食を、、、。
北大阪ダイヤモンドホテルに着いたのは午後1時ごろ。 記者会見は2時の予定だから何とか間に合ったかって所かな。
(キャシー花岡、、、。) 何処かで見覚えが有るその名前を頭の中で反芻してみる。
そして俺は何気に手帳を開いてみた。 「あっ!」
「どないしたんや? いきなり、、、。」 先輩が怪訝そうに俺の顔を覗き込んだ。
「キャシー花岡って俺の同級生が働いてるデパートなんですよ。」 「何やて? お前の彼女が働いとる?」
「彼女じゃなくて同級生です。」 「何や 同級生かい。 脅かすなよ。」
「先輩が驚きすぎなんです。」 「言うなあ お前。」
「それにしてもキャシー花岡が何で大阪に?」 「知らんわ ボケ。」
記者会見場はホテルの小さなホールである。 既に準備は整っていて時間が来るのを待つばかり。
関西テレビなどのテレビメディアもカメラをセットして準備万端らしい。 「緊張するなあ。」
「お前が緊張してどないすんねん? アホ。」 先輩はとにかく口が悪いんだよ。 何とかならないのかな?
時々ジュースを飲みながらその時を待つ。 会場もソワソワしてきた。
何気に入り口に目をやると、、、。 「あっ!」
「どないしたんや? 美人でも居ったんか?」 先輩が面倒しい顔で聞いてきた。
「いや、俺の同級生が、、、。」 「何やて? お前の彼女が来とるんかい?」
「だから彼女じゃなくて、、、ですねえ。」 「すまんすまん。 許せ。 そんで誰が来たんや?」
(この人 話を聞いてないわ。) 「俺の友達が、、、。」
でもジーパンのポケットに何か入っている。 (何だろう?)
そう思って手を突っ込んでみる。 引っ張り出した物は真理子が付けていたブラだった。
(おいおい、こんなんで俺を釣ろうってか?) 呆れ返ってはみたが、どうも真理子を忘れられなくなっているのも事実である。
「やられたな?」 あの時、吉永さんはそう言って笑っていた。
「女なんてなあ、一晩限りのオアシスみたいなもんや。 溺れたらやられるぞ。」 帰りの電車の中でも吉永さんは俺にそう言った。
俺はというとポケットから取り出したブラを机の引き出しに放り込んでその場は何とかごまかそうと懸命にもがいている。
しかし抱いた時のあの感触はなかなか忘れられなくてまたブラを取り出してはボーっと見詰めていたりする。
財布を入れているポシェットの中を掻き回していると小さな紙が出てきた。
『お兄さん すごく良かったわ。 悶々としてたからすっきりしちゃった。
次はお一人で遊びに来てね。
今回よりももっとサービスするから必ず来てね。
真理子』
その下には家電らしい番号が書かれている。 俺は一瞬唾を飲み込んだ。
「来てね。」って言われてもいったいいくら払ったのか吉永さんにも聞いてないんだ。 いったいいくらなんだろう?
大阪へ来て半年。 やっと仕事にありつけた段階でやっとのことで給料を貰っている俺には想像すら出来なかった。
お泊り宿といってもあれでは、、、。 考えてみたって分かるわけが無い。
これまで遊んだことも無ければ女を抱いたことすら無い俺には、、、。
たまの気休めに清美に手紙を書いてみる。 でも忙しいからなのか、返事は来たことが無い。
新聞社の記者室には女の子も何人か居て話そうと思えば話せるのだが外勤が多くてじっとしていることが無いもんだから未だに話したことが無い。
夜中になると近くの販売機を覗いていたりする。 スモークが掛かっていてよくは見えないが本を売っているらしい。
雨が降っていた水曜日の夜、俺は思い切ってその本を買ってきた。 (何なんだろう?)
表紙を捲ってみる。 いきなりの全裸写真だ。 その一枚で俺は夢の中へ飛び込んでしまった。
ここ数日、妙なくらいに空白感を感じていたんだ。 原因が何か分からなかったのだけど、やっぱりこれだったんだな。
それからは食い入るような眼で1ページずつ捲っていく。 柱に縛られた女が居る。
ベッドの上で絡み合っている女が居る。 布団に投げ出された女が居る。
どれもこれも俺には刺激が強過ぎたらしい。 新世界を目の当たりにした気がした。
さてさて水曜日。 吉永さんは朝から記者会見で入れ込んでいて次の仕事が捌けない。 「お前 俺の代わりに行ってくれへんか?」
「いいんですか? 俺なんかで、、、。」 「これも修行や。 行って来い。」
「分かりました。」 「ポイントはこれに書いてあるからな。」
吉永さんは2枚のメモを俺にくれた。 行き先は北大阪ダイヤモンドホテル。
しかも会見を開く相手はキャシー花岡。 (何処かで聞いたことが有るぞ。)
何とか思い出そうとするのだがなかなか思い出せないでいる。 会見時間は午後2時。
会社の車で会場へ向かうことになっているから駐車場へ、、、。 「よし。 行こうか。」
先輩と二人で車に乗る。 「何 緊張してるんだよ?」
「いや、今回が初めてだから。」 「そっか。 お前まだやっとらんかったんかい。」
「そうです。 吉永さんの付き人になってたから。」 「付き人なあ。 おもろいこと言うやんか。」
朝日放送の番組を聞きながら車は走っている。 「今日も混んどるなあ。 どんくさいのが多いからなあ。 迷惑やで。」
「そんなん言うてもしゃあないですやんか。」 「そらそうやろうけど、こいつは受け入れられんわ。」
なかなかの混雑ぶりである。 御堂筋を貫けるのも大変らしい。
「どっかで飯食うてから行こうか。」 「そんな時間有ります?」
「腹が減っては戦は出来ん。 食うべし。」 「分かりました。」
そんなわけで途中で見付けたファミレスに飛び込んで昼食を、、、。
北大阪ダイヤモンドホテルに着いたのは午後1時ごろ。 記者会見は2時の予定だから何とか間に合ったかって所かな。
(キャシー花岡、、、。) 何処かで見覚えが有るその名前を頭の中で反芻してみる。
そして俺は何気に手帳を開いてみた。 「あっ!」
「どないしたんや? いきなり、、、。」 先輩が怪訝そうに俺の顔を覗き込んだ。
「キャシー花岡って俺の同級生が働いてるデパートなんですよ。」 「何やて? お前の彼女が働いとる?」
「彼女じゃなくて同級生です。」 「何や 同級生かい。 脅かすなよ。」
「先輩が驚きすぎなんです。」 「言うなあ お前。」
「それにしてもキャシー花岡が何で大阪に?」 「知らんわ ボケ。」
記者会見場はホテルの小さなホールである。 既に準備は整っていて時間が来るのを待つばかり。
関西テレビなどのテレビメディアもカメラをセットして準備万端らしい。 「緊張するなあ。」
「お前が緊張してどないすんねん? アホ。」 先輩はとにかく口が悪いんだよ。 何とかならないのかな?
時々ジュースを飲みながらその時を待つ。 会場もソワソワしてきた。
何気に入り口に目をやると、、、。 「あっ!」
「どないしたんや? 美人でも居ったんか?」 先輩が面倒しい顔で聞いてきた。
「いや、俺の同級生が、、、。」 「何やて? お前の彼女が来とるんかい?」
「だから彼女じゃなくて、、、ですねえ。」 「すまんすまん。 許せ。 そんで誰が来たんや?」
(この人 話を聞いてないわ。) 「俺の友達が、、、。」

