〜Midnight Eden〜 episode4.【月影】
埼玉の明智家まで紫音を見舞った夏木に紫音はすがりついた。彼女は夏木の目の前で自ら服を脱いで裸体を晒し、抱いて欲しいと懇願したそうだ。
伶はまだ生後10ヶ月だった。昼寝をする息子の隣で、夫以外の男に自ら望んで抱かれる母親の光景は想像を絶する。当然、伶は何も知らない。
夏木と紫音の不倫関係は以降も長く続いた。当時、既に夏木コーポレーション社長の立場にあった夏木は多忙な仕事の合間を縫って埼玉に通い、明智の目を盗んで夏木と紫音は逢瀬を重ねる。
『私はできることをしたまでだ。初めて出会った頃から紫音が愛しかった。私の愛を彼女は受け入れてくれたよ。紫音と愛し合った結果、生まれたのが舞だった』
時には紫音が東京の夏木の自宅を訪ねることもあった。幼い伶を雨宮の実家に預けている間、紫音は夏木の自宅で一時の女の時間を愉《たの》しんだ。
妻の朋子が家にいても、堂々と夏木と紫音は身体を重ねた。朋子は昔話を愁に語る際、たびたび紫音を強《したた》かな小悪魔と罵るが、それも致し方無い。
愛のない夫婦だとしても悪びれず愛人を自宅に招き、自分の目の前で紫音を愛する夫の裏切りに堪えきれなくなった朋子は鎌倉に家を購入、夏木夫婦は別居の道を選んだ。
朋子と愁の肉体関係もこの辺りから始まった。朋子の愁への寵愛は、若い愛人を可愛がる夏木への当て付けの意味も含まれていた。
『舞をあなたと紫音の愛の結晶扱いしないでください。舞を産んだことで紫音はもっと苦しめられた。日記には、自殺する前日までの紫音の心境が書いてあります。死を選ぶ直前の紫音は何かに怯えていた。外出も怖がっていた節がある』
紫音の自殺には複雑な事情が絡んでいる。
冷えきった夫婦仲でも、明智と紫音には定期的に夫婦の営みがあったと言う。けれどそれは性暴力同然の行為、夫との交わりでは身体も心も紫音は満たされなかった。
妊娠のタイミングを考えれば夏木と明智、どちらの子か紫音にはわかる。やがて生まれた娘が自分の種の子ではないと気付いた明智の、紫音への束縛と暴力は一層激しくなった。
舞が1歳の誕生日を迎えた直後、紫音はこの世を去った。
部屋で首を吊る紫音を発見したのは6歳の伶だった。紫音の命を奪った凶器は、彼女が趣味の園芸で使用していたロープだと以前に伶は話していた。
伶はまだ生後10ヶ月だった。昼寝をする息子の隣で、夫以外の男に自ら望んで抱かれる母親の光景は想像を絶する。当然、伶は何も知らない。
夏木と紫音の不倫関係は以降も長く続いた。当時、既に夏木コーポレーション社長の立場にあった夏木は多忙な仕事の合間を縫って埼玉に通い、明智の目を盗んで夏木と紫音は逢瀬を重ねる。
『私はできることをしたまでだ。初めて出会った頃から紫音が愛しかった。私の愛を彼女は受け入れてくれたよ。紫音と愛し合った結果、生まれたのが舞だった』
時には紫音が東京の夏木の自宅を訪ねることもあった。幼い伶を雨宮の実家に預けている間、紫音は夏木の自宅で一時の女の時間を愉《たの》しんだ。
妻の朋子が家にいても、堂々と夏木と紫音は身体を重ねた。朋子は昔話を愁に語る際、たびたび紫音を強《したた》かな小悪魔と罵るが、それも致し方無い。
愛のない夫婦だとしても悪びれず愛人を自宅に招き、自分の目の前で紫音を愛する夫の裏切りに堪えきれなくなった朋子は鎌倉に家を購入、夏木夫婦は別居の道を選んだ。
朋子と愁の肉体関係もこの辺りから始まった。朋子の愁への寵愛は、若い愛人を可愛がる夏木への当て付けの意味も含まれていた。
『舞をあなたと紫音の愛の結晶扱いしないでください。舞を産んだことで紫音はもっと苦しめられた。日記には、自殺する前日までの紫音の心境が書いてあります。死を選ぶ直前の紫音は何かに怯えていた。外出も怖がっていた節がある』
紫音の自殺には複雑な事情が絡んでいる。
冷えきった夫婦仲でも、明智と紫音には定期的に夫婦の営みがあったと言う。けれどそれは性暴力同然の行為、夫との交わりでは身体も心も紫音は満たされなかった。
妊娠のタイミングを考えれば夏木と明智、どちらの子か紫音にはわかる。やがて生まれた娘が自分の種の子ではないと気付いた明智の、紫音への束縛と暴力は一層激しくなった。
舞が1歳の誕生日を迎えた直後、紫音はこの世を去った。
部屋で首を吊る紫音を発見したのは6歳の伶だった。紫音の命を奪った凶器は、彼女が趣味の園芸で使用していたロープだと以前に伶は話していた。