〜Midnight Eden〜 episode4.【月影】
霞が関の警視庁に戻った美夜と九条を待ち受けていたのは、予期せぬ人物だった。不快な表情を隠さない九条の隣で美夜は無表情に、こちらに片手を振る男を見据えた。
『女刑事さーん。やっと帰って来た』
「どうしてあなたがここに?」
目の前に現れたのは美夜が先ほどまで悪行の噂の数々を耳にしていた伊吹大和だった。応接室のソファーを陣取る大和の両隣には、二人の男がいる。
ひとりは以前に彼を迎えにきた秘書の前畑亨太。もうひとりは美夜も九条も初めて顔を見る男だ。
『大和の父です』
東京弁護士会の副会長、伊吹啓太郎は不遜な態度で美夜達に会釈する。息子がどんな悪事を働いても金と権力で解決してきた男が、東京の並み居る弁護士を牽引する立場にあるとは世も末だ。
上野一課長に促されて美夜と九条は彼らの対面に着席した。身体を舐め回すような大和の視線が相変わらず気持ち悪い。
『これが大和くんのカバンに入っていた。昨日の大学の授業中、教材に挟まっていたこれを見つけたらしい』
上野に見せられたのは四つ折りになったコピー用紙。紙面には[次はお前の番だ]とデジタルな書体が印字してある。
“お前の番”が殺人の順番を示しているとすれば、殺害予告とも捉えられる文面だ。
『私の事務所にも昨日同じ物が届いていた。これは私と息子に対する脅迫だ』
伊吹弁護士の事務所にも同じ材質、同じ筆記体の脅迫状が事務所のポストに投函されていたと言う。
こちらの文面は[次はお前の息子の番]とある。脅迫状を最初に発見したのは秘書の前畑だ。
『父さんも前ちゃんも心配性なんだよ。こんなの子どものイタズラ程度じゃん』
『大和くん、君の友人達が殺されているんだ。用心するに越したことはない』
ソファーにだらしなく座って呑気にコーヒーをすする大和を前畑秘書が諭す。前畑は、感情を一切表に出さない生真面目な印象の秘書だ。
伊吹弁護士はイタズラだと気にも留めなかったが、一連の殺人事件で大和の身を案じた前畑の助言により今回の警護依頼に踏み切った。
大和は26日金曜日の午前の飛行機でハワイに旅立つ。警察の方針は、ひとまず今夜から26日の彼が飛行機に搭乗するまでの間、交代で大和の警護を行うことが決定した。
『ちょっと三泊四日、ハワイでのんびりしてくるよ。俺が帰ってくるまでに頭のイカれた犯人捕まえてくれよ』
友人二人と、付き合いのあった小柴優奈が立て続けに殺された状況下で海外旅行とはいい気なものだ。
『女刑事さーん。やっと帰って来た』
「どうしてあなたがここに?」
目の前に現れたのは美夜が先ほどまで悪行の噂の数々を耳にしていた伊吹大和だった。応接室のソファーを陣取る大和の両隣には、二人の男がいる。
ひとりは以前に彼を迎えにきた秘書の前畑亨太。もうひとりは美夜も九条も初めて顔を見る男だ。
『大和の父です』
東京弁護士会の副会長、伊吹啓太郎は不遜な態度で美夜達に会釈する。息子がどんな悪事を働いても金と権力で解決してきた男が、東京の並み居る弁護士を牽引する立場にあるとは世も末だ。
上野一課長に促されて美夜と九条は彼らの対面に着席した。身体を舐め回すような大和の視線が相変わらず気持ち悪い。
『これが大和くんのカバンに入っていた。昨日の大学の授業中、教材に挟まっていたこれを見つけたらしい』
上野に見せられたのは四つ折りになったコピー用紙。紙面には[次はお前の番だ]とデジタルな書体が印字してある。
“お前の番”が殺人の順番を示しているとすれば、殺害予告とも捉えられる文面だ。
『私の事務所にも昨日同じ物が届いていた。これは私と息子に対する脅迫だ』
伊吹弁護士の事務所にも同じ材質、同じ筆記体の脅迫状が事務所のポストに投函されていたと言う。
こちらの文面は[次はお前の息子の番]とある。脅迫状を最初に発見したのは秘書の前畑だ。
『父さんも前ちゃんも心配性なんだよ。こんなの子どものイタズラ程度じゃん』
『大和くん、君の友人達が殺されているんだ。用心するに越したことはない』
ソファーにだらしなく座って呑気にコーヒーをすする大和を前畑秘書が諭す。前畑は、感情を一切表に出さない生真面目な印象の秘書だ。
伊吹弁護士はイタズラだと気にも留めなかったが、一連の殺人事件で大和の身を案じた前畑の助言により今回の警護依頼に踏み切った。
大和は26日金曜日の午前の飛行機でハワイに旅立つ。警察の方針は、ひとまず今夜から26日の彼が飛行機に搭乗するまでの間、交代で大和の警護を行うことが決定した。
『ちょっと三泊四日、ハワイでのんびりしてくるよ。俺が帰ってくるまでに頭のイカれた犯人捕まえてくれよ』
友人二人と、付き合いのあった小柴優奈が立て続けに殺された状況下で海外旅行とはいい気なものだ。