〜Midnight Eden〜 episode4.【月影】
港区浜松町の一角に佇む、地上二十二階建てタワーマンションの一室が伊吹大和の自宅だ。一階部分にはコンビニが併設され、地下一階には駐車場と駐輪場がある。
大和の住居は低層に位置する五階。あの父親も、さすがに大学生の分際の息子に高層階の部屋は買い与えなかったようだ。
マンションに到着した美夜を大和は嬉々として出迎えた。こちらは警護の講習や準備に追われて休む暇もなかったのに、大和は呑気に宅配ピザを食べて酒も飲んでいた。
自宅に侵入できてしまうデリバリーサービスは危険だから現状での利用はするなと注意を促しても、大和には命が狙われている危機感がまるでない。
あげくに裸の女が奇声を上げるポルノDVDを、堂々と美夜の前で鑑賞する神経が信じられなかった。
『とりあえずゆっくりしなよ。ピザ食べる?』
「ゆっくりはできませんが、部屋の位置関係の確認はさせていただきます。食事は済ませてきたのでお気遣いなく」
犯人側がどのようにして大和に接触を図ろうとするのか行動パターンが読めない。最も効率的で殺害の機会が狙えるのは家と大学の行き帰り。
しかし大和の自宅と大学は同じ港区内の目と鼻の先。一駅で行けてしまう距離にある。
警察にとっては、大和は犯人をおびき寄せる餌。大和を狙いに来たところで一気に片を付ける算段だが、警察の監視下で大和を狙いにくい状況をわざと作り上げた犯人側の本当の目的は?
『家具の裏覗いたりして何してるの?』
「盗聴器やカメラが仕掛けられていないか調べているんです。最近、この部屋に誰か入りましたか?」
『秘書の前ちゃんなら、さっきハワイに持っていく荷物とパスポート届けに来た。前ちゃん以外だと先週持ち帰った女が二人……いや三人?』
「わかりました。それくらいで結構です」
高そうな腕時計のコレクションが並ぶキャビネットと壁の間や、耳障りな女の声を発する大型テレビの裏側、彼女はありとあらゆる家具の隙間やコンセントを確認した。
『もう止めなよー。盗聴器なんかないって。ここに出入りできる人間は俺以外だと合鍵持ってる親父と前ちゃんくらいだし、ここのセキュリティじゃ、そんなの仕掛けに来れないよ』
確かにマンションのセキュリティは強固だ。
住人以外がマンションに出入りするには合鍵を使うか、エントランスとエレベーターホールの二重のオートロックを住人側に解除してもらわなければ部屋には入室できない。
大和の住居は低層に位置する五階。あの父親も、さすがに大学生の分際の息子に高層階の部屋は買い与えなかったようだ。
マンションに到着した美夜を大和は嬉々として出迎えた。こちらは警護の講習や準備に追われて休む暇もなかったのに、大和は呑気に宅配ピザを食べて酒も飲んでいた。
自宅に侵入できてしまうデリバリーサービスは危険だから現状での利用はするなと注意を促しても、大和には命が狙われている危機感がまるでない。
あげくに裸の女が奇声を上げるポルノDVDを、堂々と美夜の前で鑑賞する神経が信じられなかった。
『とりあえずゆっくりしなよ。ピザ食べる?』
「ゆっくりはできませんが、部屋の位置関係の確認はさせていただきます。食事は済ませてきたのでお気遣いなく」
犯人側がどのようにして大和に接触を図ろうとするのか行動パターンが読めない。最も効率的で殺害の機会が狙えるのは家と大学の行き帰り。
しかし大和の自宅と大学は同じ港区内の目と鼻の先。一駅で行けてしまう距離にある。
警察にとっては、大和は犯人をおびき寄せる餌。大和を狙いに来たところで一気に片を付ける算段だが、警察の監視下で大和を狙いにくい状況をわざと作り上げた犯人側の本当の目的は?
『家具の裏覗いたりして何してるの?』
「盗聴器やカメラが仕掛けられていないか調べているんです。最近、この部屋に誰か入りましたか?」
『秘書の前ちゃんなら、さっきハワイに持っていく荷物とパスポート届けに来た。前ちゃん以外だと先週持ち帰った女が二人……いや三人?』
「わかりました。それくらいで結構です」
高そうな腕時計のコレクションが並ぶキャビネットと壁の間や、耳障りな女の声を発する大型テレビの裏側、彼女はありとあらゆる家具の隙間やコンセントを確認した。
『もう止めなよー。盗聴器なんかないって。ここに出入りできる人間は俺以外だと合鍵持ってる親父と前ちゃんくらいだし、ここのセキュリティじゃ、そんなの仕掛けに来れないよ』
確かにマンションのセキュリティは強固だ。
住人以外がマンションに出入りするには合鍵を使うか、エントランスとエレベーターホールの二重のオートロックを住人側に解除してもらわなければ部屋には入室できない。