〜Midnight Eden〜 episode4.【月影】
 角度を変えて何度も何度もキスの洪水が二人を濡らす。口内で絡めた二つの舌は甘ったるい咀嚼音を奏で、キスの海に溺れた苦しさと切なさが二人の心を締め付けた。

 耳たぶに愁の唇が触れると甘い刺激が全身に伝わる。刺激は少しずつ下へ降りて、顎先に触れる愁の髪がくすぐったい。
首筋や鎖骨を縦横無尽に駆け巡る彼の唇が、彼女の肌に罪の刻印を刻み付けた。

「今の……何したの?」
『後で鏡見てみろ。謹慎中は人に会わねぇだろ?』

 また愁は甘い痛みを美夜に植え付けた。さっき感じた刺激の場所に近い鎖骨の下に、次は胸の谷間に、甘美な刺激が美夜を襲う。

それがキスマークをつけられた痛みだと彼女が気付いた時には、愁は美夜の滑らかな白肌に薔薇の花びらを撒き散らしていた。

『そうやって恥じらってると、美夜も可愛い女に見えるな』
「こっちは初めてなんだから当たり前でしょ……」

 初めて男に晒した一糸纏わぬ姿は想像以上に羞恥を煽る。思わず胸元を両腕で隠したが、美夜の弱々しい抵抗も愁の前ではないに等しい。

胸を隠した両手は呆気なくベッドに縫い止められて、愁の顔が胸に沈む。

身体に起きる痙攣《けいれん》は愁の唇が胸や脇、腹部を通って鼠径部《そけいぶ》をなぞるほどに大きくなった。両脚を左右に開かされて、裸の陰部を晒した羞恥心が美夜の頬を桃色に染める。

 骨張った男の長い指が、まだ誰も触れていない未開拓の蜜壺の割れ目をなぞる。粘膜を刺激する初めて味わう痛みは少し経つと快感に変わり、愁の指の動きに呼応した美夜の蜜は溢れて満ちる。

「……っあ、ぁっ、ぁあ……んっ」

 自分のものとは思えない甲高い女の喘ぎ声に、美夜自身が驚いていた。
大好きな祖父と佳苗の情事を覗き見た十七歳の冬、あの時に祖父の上で腰を振っていた佳苗と同じ雌の声を、今の自分は発している。

吐息に含んだ喘ぎ声にも、下半身からくちゅくちゅと漏れ聴こえる卑猥な水音にも、恥ずかしさで耳を塞ぎたくなった。痛いのに気持ちがいい。こんな感覚は初めて知る。

 これ以上の快楽の扉を開けるのが恐ろしくなった彼女は、蜜壺に顔を埋める愁の髪にそっと触れた。蜜壺の中では、愁の指と舌先が淫らに動き回っている。

「あっん……やだ……、愁……。怖い。自分がどうなっちゃうのか……怖いよ」
『心配するな。堕ちる時は一緒だ』

 朦朧とする思考回路の片隅で愁がベルトを外す音と軋んだベッドが、もう引き返せないと美夜に告げる。

ここからが本当の地獄の始まり。二人だけの永遠に続く真夜中の楽園。
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