すべての想いは君とふたりで

わたしは律樹さんの隣に座ると、律樹に淹れた紅茶と同じものを飲んだ。

すると、律樹さんは新聞を畳みテーブルに置くと、「花さん?今日、何かありましたか?」と言った。

「えっ?」
「何か、元気がない気がして、、、。」
「そんなことないですよ。」
「僕の気にし過ぎですね。すいません。」
「いえ、気にしていただいて、ありがとうございます。」

わたしは作り笑顔を見せ、必死に何でもないフリをしながら、紅茶が入ったカップをテーブルに置いた。

「あのぉ、花さん。」
「はい。」
「、、、抱きしめても、、、いいですか?」

突然の律樹さんの言葉に驚くわたし。

律樹さんは、「何か花さんが切ない顔をされてるので、抱きしめたくなってしまって、、、もちろん、嫌なら断っていただいても構いません。」と言った。

「、、、いいですよ。」
「えっ。」
「抱きしめてください。」

わたしがそう言うと、律樹さんは「で、では、、、失礼します。」と言い、ぎこちなくわたしに手を回すと、そっと抱きしめてくれた。

わたしも律樹さんの腰に腕を回し、抱きしめる。

耳にあたる律樹の胸の鼓動は大きく早く高鳴っていた。

「大丈夫ですか?僕、女性を抱きしめたことがなくて、、、。」
「大丈夫ですよ。」
「年上のくせに、情けないですよね。申し訳ないです。」
「気にしないでください。律樹さんの腕の中、温かいですよ。」

わたしがそう言うと、律樹さんは小さな声で呟くように「良かった。」と言った。


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