すべての想いは君とふたりで

そして、律樹さんとの同棲を始めてから、そろそろ1ヵ月が経とうとしていた時。

いつものように律樹さんのお見送りをしたあとに掃除機をかけていると、スマホが鳴っていることに気付いた。

一度掃除機を止め、食卓テーブルの上に置いてあったスマホを手に取ると、着信の相手は母だった。

「もしもし?」
「あ、花?久しぶり!元気〜?」

母の声を聞くのは、突然律樹さんとの婚約を知らされ、このマンションに置き去りにされて以来だ。

母は、ウキウキした様子で「律樹さんとは仲良くやってるぅ?」と訊いてきた。

「まぁ、仲良くしてるよ。」
「それなら良かった!で、1ヵ月も経ったんだから、あっちの方はどうなの?手は繋いだ?キスはした?それとも、、、」
「あー!もうそんなこと訊かないでよ!」
「もぉ〜いいじゃない!」
「そんなこと訊く為に電話してきたなら切るよ。」
「あ、ちょっと待って!最後に、一応お試し同棲ではあるけど、婚約してるわけなんだから、先に赤ちゃんデキても、お母さんは良いと思ってるからね!じゃあ、花!頑張ってね!」

母はそう言うと、言いたいことだけを言って一方的に電話を切った。

わたしは切れたスマホに向かって「何を頑張るわけ?」と問い掛けると、食卓テーブルにスマホを置き、掃除を再開させた。

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