すべての想いは君とふたりで

その日から、律樹さんは残業で帰りが遅くなり、ルーティンの中のわたしを「抱きしめる」ことが出来なかった日は、寝る前にわたしを抱いた。

一生懸命にわたしを気持ち良くさせようとしてくれる律樹さん。

回数を重ねるごとに動きが自然となっていき、わたしは独りよがりじゃない律樹さんの優しい行為に心にポッカリと空いていた穴が少しずつ埋まっていくのを感じた。

大和のことを忘れられるかもしれない、そう思った。


そして、同棲を始めてから3ヵ月目にも入ると、わたしたちも恋人らしくなってきた。

ただ、敬語だけはお互いになかなかやめられずにいた。

今日は日曜日。

まだ朝の8時で、わたしの隣で眠っている律樹さん。

わたしがそろそろ起きて、珈琲を淹れる準備をしようかと布団から出ようとした時、律樹さんがわたしの腰に腕を回し、「行かないでください。」と甘えてきた。

「おはようございます。起きてたんですか?」
「花さんが布団から出ようとした時に目が覚めました。」
「珈琲を淹れる準備をしようと思って。」
「珈琲は、まだあとでで良いです。まだそばにいてください。」

律樹さんはそう言うと、わたしを布団の中に戻し、腕枕をして抱きしめた。

「たまには、ベッドでゆっくり過ごすのもいいですね。」
「今日はまったりデーにしますか?」
「そうですね。今日1日、花さんに癒してもらいます。」
「いつもお仕事お疲れ様です。」

そう言い合うと、わたしたちは抱き合いながら再び目を閉じた。

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