すべての想いは君とふたりで
「今更、そんなこと言われても、、、。」
わたしの頭の中には、律樹さんの顔が思い浮かんでいた。
まだ出会って同棲を始めてから3ヵ月目とはいえ、お互いに向き合う努力をして、抱きしめ合ったり、手を繋いだり、キスをしたり、男女が愛し合う行為まで辿り着いて、恋人らしくなってきたところだ。
律樹さんは、わたしのおかげで幸せだと言ってくれている。
それなのに、今更、、、大和のところに戻るから、「さようなら」なんて、、、律樹さんに言えない、、、
律樹さんの微笑みを思い浮かべると、胸が締め付けられるように苦しくなった。
「花ちゃんは、その婚約者のことが、、、好きなの?」
「、、、分からない。でも、好きになる努力はしてきた。婚約者、律樹さんってゆうんだけど、、、律樹さんが一生懸命、わたしと向き合ってくれようとして、幸せにしてくれようとしてる姿を見てたら、わたしもそれに応えなきゃって、、、律樹さんに失礼だと思ったから、、、。」
翔くんは、わたしの言葉に黙り込み、水滴が流れる水が入ったグラスを見つめていた。
「大和さん、、、花ちゃんと別れてから、他に女つくってないんだよ。花以上に好きになれる女は、もう現れないって言ってた。」
わたしは思い出した。
久しぶりに大和に会った日のことを、、、
わたしが「婚約者がいる」と言った時、大和はどんな気持ちだったんだろう。
わたしは、、、大和を傷付けたんじゃないかな。
"幸せになれよ"
そう言った大和の背中が、わたしは忘れられなかった。