すべての想いは君とふたりで
「花さん、、、まだ、元彼さんのことが、忘れられないんですよね?」
怒ることもなく、優しい声で律樹さんはわたしに問い掛ける。
その優しさが、逆にわたしにはツラくて、涙が溢れてきた。
「花さん、たまに寝言で"やまと"って、言ってることがあるんです。涙を流しながら、、、。だから、まだ元彼さんのことが忘れられないんだなぁって、、、思ってました。」
律樹さんはそう言ったあと切なげに微笑み、「最初は、元彼さんのことを忘れさせられるくらい、花さんを幸せにしようって思ってました。でも、、、やっぱり、その"やまと"さんには敵いませんね。」と言った。
それから律樹さんは、身体ごとわたしの方を向くと、泣いているわたしに向かって「もう、本当の気持ちに素直になってもいいですよ?僕は、充分、、、花さんに幸せにしていただきました。今度は僕が花さんを幸せにする番です。花さんを幸せにする方法は、、、花さんを"やまと"さんの側にいさせること、これしかないと思っています。」と言い、わたしを抱きしめた。
「花さん、、、短い間でしたが、花さんにはたくさんの幸せと喜びを教えていただきました。花さんには、感謝しかありません。」
「律樹さん、、、ごめんなさい、、、。」
「何を謝ってるんですか?僕は、謝られるようなことはされていませんよ?」
「だって、、、わたし、、、」
「花さん、、、幸せになってください。花さんの幸せは、僕の幸せです。」
律樹さんの言葉にわたしは声を出して泣いた。
律樹さんはわたしを抱きしめたまま、子どもを宥めるように優しく背中を擦ってくれた。
その日の夜が、わたしは律樹さんと過ごす最後の夜となった。