すべての想いは君とふたりで
ソファーには、わたしの両親と律樹さんが座り、大和とわたしは床に正座をした。
最初に話しを切り出したのは、律樹さんだった。
「お父様、先程少しお話しさせていただきましたが、僕は花さんと話し合って承知の上で婚約を取り止めることにしたんです。」
「でもね、律樹くん。わたしは娘の幸せを考えて、律樹くんと一緒になって欲しいと思ってるんだよ。こんな、元暴走族の総長だかに娘を任せられん。」
「お父様は、花さんの幸せを願っているんですよね?それなのに、花さんに自分の気持ちに蓋をさせて、好きでもない僕と結婚させることが、花さんの幸せだと言えるんでしょうか?」
律樹さんの言葉にパパは言葉を詰まらせた。
「お義父さん。」
大和とそう言うと、パパは「お前に"お義父さん"と呼ばれる筋合いはない。」と言った。
「、、、確かに俺は、元暴走族の総長でした。でも、花さんと別れてから、お義父さんに認めてもらえるように必死に働いてきました。」
「必死に働いてきたって、元暴走族に何の仕事が出来るって言うんだ。」
「建築関係の仕事ですが、今は独立して会社を経営しています。従業員はそれほど、まだ多くありませんが、今丁度軌道に乗ってきたところです。」
大和の言葉にパパは「ふんっ、建築関係なんて、誰でも出来るような仕事じゃないか。」と馬鹿にするような言い方をした。
イラッとしたわたしはパパに言い返そうとしたが、先に言い返してくれたのは律樹さんだった。
「お父様、建築関係の仕事は大変な仕事ですよ?誰にでも出来る仕事ではありません。僕には無理です。彼が必死に働いて独立して会社を設立したのは凄い事ですし、それは花さんの為だと思いませんか?」
律樹さんがそう言うと、パパは黙り込み、それから言葉を絞り出すように「でもな、律樹くん。こいつは、元暴走族だ。そんなことをしてたやつは、世の中のクズでしかない。そんな奴に娘を幸せに出来ると思うか?」と言った。