すべての想いは君とふたりで
すると、律樹さんは静かに落ち着いた声で「この世の中に、クズなんて人間は存在しません。」と言った。
「お父様、花さんとの交際を認めてもらう為に必死に働いてきた彼をなぜクズと呼べるんでしょうか?」
「なぁ、律樹くん。もし、うちの娘に問題があって婚約を取り止めたいのであれば、娘に直させるから。だから、もう一度、、、」
「いえ、花さんに問題なんて一つもありませんよ。とても素晴らしい女性です。」
律樹さんの言葉にパパは「じゃあ、何で、、、。」と言った。
「花さんを、、、愛しているからです。」
そう言う律樹さんは、続けて「お父様は、花さんを愛していないんですか?」と訊いた。
「も、もちろん、大事な一人娘だから、愛しているよ。」
「それなら、お父様が決めた幸せを押し付けるより、花さんが望む幸せを応援してあげることが、本当の愛情ではないですか?」
律樹さんの言葉に何も言い返せないパパ。
わたしは律樹さんの思いやりに涙が溢れてきた。
「僕は、花さんを愛しています。だから、幸せになってもらいたいんです。僕が花さんを幸せにするには、身を引く、、、これしかないんです。」
律樹さんがそう言ったあと、大和はパパに向けて深く頭を下げると、「お義父さん、、、どうか、花さんとの交際を認めてください。殴られても、蹴られても構いません。俺は、お義父さんに認めていただけるまで、頭を下げ続けます。必ず、花さんを幸せにしてみせます。どうか、、、認めていただけないでしょうか。お願いします。」と言った。
大和がそう言ったあと、わたしも泣きながらパパに向けて「お願いします。」と頭を下げた。
パパは難しい顔をしながら、身体を震わせていた。