〜Midnight Eden〜 episode5.【雪華】
『伶と舞はどうしてる?』
「伶くんは検察に送られて拘留中、舞ちゃんは雨宮蘭子が京都に連れて帰ったよ。東京でひとりでいるよりはマシだろうって。蘭子はあなたから舞ちゃんの後見人を頼まれたって言ってた。蘭子とも、隠れた繋がりがあったのね」
『言い訳させてもらうと蘭子は一度も抱いてねぇよ。向こうの好意は感じてはいたけどな』
「年下にも年上にもモテモテねぇ」
『俺は強がりでヤキモチ妬きの女刑事の世話で手一杯』
いつもの携帯灰皿に煙草を捨てた愁の顔がこちらを向いた。薄笑いの口元を真一文字に結んだ彼の、やけに真剣な眼差しがたちまち美夜の心の奥を射抜いて掻《か》き攫《さら》う。
『俺を逮捕するか俺と地獄に堕ちるか。好きな方を選べ』
「ババ抜きだとどっちがジョーカー?」
『どちらもジョーカー』
「それはずるい」
愁の広げた両腕に迎えられ、辿り着いたぬくもりの中で今度は美夜の唇が愁の唇を迎えに行った。再会のキスは虹の橋と満月の真下。
触れて離れてまた触れて、唇の上で互いの体温を移し合う。
「寂しかった。置いてきぼりにされたみたいで……」
『ひとりにして悪かったよ。寂しがりで強がりでヤキモチ妬きの女刑事さんは世話が焼けるな』
「悪口ひとつ増えてない?」
『お前が本当は物凄く寂しがりだって俺は知ってる』
「偉そうに……」
選んだつもりでも選ばされている。
ババ抜きの最終局面、彼女が選んだカードは微笑みのジョーカー。
犯罪者に弄ばれた女?
そう思いたいなら勝手に哀れんでくれて構わない。
破滅を選んだ馬鹿な女?
そう罵《ののし》りたければご自由にどうぞ。
この選択を綺麗な言葉で飾り付けて昇華はしない。
一緒にいたいから一緒にいる。
つまるところ人の選択などそんなもの。純愛でも高尚《こうしょう》でも何でもない。
ふたりの真実はニュースも週刊誌もSNSも語らない。
ふたりの真実はふたりしか知らない。
彼女と彼にはそれで充分だった。
「伶くんは検察に送られて拘留中、舞ちゃんは雨宮蘭子が京都に連れて帰ったよ。東京でひとりでいるよりはマシだろうって。蘭子はあなたから舞ちゃんの後見人を頼まれたって言ってた。蘭子とも、隠れた繋がりがあったのね」
『言い訳させてもらうと蘭子は一度も抱いてねぇよ。向こうの好意は感じてはいたけどな』
「年下にも年上にもモテモテねぇ」
『俺は強がりでヤキモチ妬きの女刑事の世話で手一杯』
いつもの携帯灰皿に煙草を捨てた愁の顔がこちらを向いた。薄笑いの口元を真一文字に結んだ彼の、やけに真剣な眼差しがたちまち美夜の心の奥を射抜いて掻《か》き攫《さら》う。
『俺を逮捕するか俺と地獄に堕ちるか。好きな方を選べ』
「ババ抜きだとどっちがジョーカー?」
『どちらもジョーカー』
「それはずるい」
愁の広げた両腕に迎えられ、辿り着いたぬくもりの中で今度は美夜の唇が愁の唇を迎えに行った。再会のキスは虹の橋と満月の真下。
触れて離れてまた触れて、唇の上で互いの体温を移し合う。
「寂しかった。置いてきぼりにされたみたいで……」
『ひとりにして悪かったよ。寂しがりで強がりでヤキモチ妬きの女刑事さんは世話が焼けるな』
「悪口ひとつ増えてない?」
『お前が本当は物凄く寂しがりだって俺は知ってる』
「偉そうに……」
選んだつもりでも選ばされている。
ババ抜きの最終局面、彼女が選んだカードは微笑みのジョーカー。
犯罪者に弄ばれた女?
そう思いたいなら勝手に哀れんでくれて構わない。
破滅を選んだ馬鹿な女?
そう罵《ののし》りたければご自由にどうぞ。
この選択を綺麗な言葉で飾り付けて昇華はしない。
一緒にいたいから一緒にいる。
つまるところ人の選択などそんなもの。純愛でも高尚《こうしょう》でも何でもない。
ふたりの真実はニュースも週刊誌もSNSも語らない。
ふたりの真実はふたりしか知らない。
彼女と彼にはそれで充分だった。