〜Midnight Eden〜 episode5.【雪華】
『もういい、話題を変える。夏木十蔵の養子と同居してるなら、養子になった子ども達の親の事件も知ってるよな? 10年前に埼玉で起きた不動産会社社長夫妻の殺人事件だ』
夜空に向けて紫煙を吐き出す愁は何も言わない。無言は肯定の証と捉えて九条は話を進めた。
『あの事件で殺された不動産会社の社長は、同じ日に援助交際相手の女子高校生を殺してる。被害者の佐倉佳苗は神田の同級生だ』
『……そうですか』
『知ってたのか?』
『彼女が埼玉の出身だとは聞いていましたが、同級生の事件は初めて知りました』
淡々とした愁の口調に変化はない。美夜の過去を本当に知らなかったのか、知っていて今初めて知った風を装っているのか。
刑事としては半人前の九条には、愁のポーカーフェイスの奥は読めない。
『神田は佐倉佳苗の死体の第一発見者だった』
『話の筋が見えませんね。彼女と同級生の死に何の関係が?』
『神田は人の殺意に同調しやすい。これまでも事件の被疑者に何かにつけて執着されている。普段はまったく動揺しねぇくせに刑事らしくないだの、自分と同じ匂いがするだのと被疑者に言われただけで動揺して、被疑者にシンパシーを感じている時もあった』
デリヘル嬢連続殺人事件の犯人、陣内克彦に“どうしてそちら側にいる”と問われた美夜は返す言葉を失い、放心していた。
江東区看護師殺人事件の犯人の玉置理世が取り調べの担当刑事に美夜を指名した理由は、理世が美夜を“人を殺せる人種”だと察したから。
サラリーマン連続殺人事件を起こした西村光にも、美夜は何かしらのシンパシーを感じていた。光の最後の犯行と自殺を食い止められなかったことを彼女は悔いている。
犯罪者達は美夜の心に潜む闇を巧みに見抜き、彼女の闇に同調する。美夜もまた、犯罪者の闇に同調していた。
『これは俺の憶測だが、佐倉佳苗が殺されて神田はホッとしてしまったんじゃないかと思う。佳苗はアイツの父親とも援交していたようだから、佳苗がしてることを神田は許せなかったかもしれない』
『そういう感情を否定はしませんよ。誰にでも嫌いな人間がいなくなってくれたらと願う感情はある』
『そうだな。俺も否定はしない。……いや、半年間、神田と一緒にいて、そういう感情を否定できなくなった。理解はできないが否定もできない』
佐倉佳苗殺しの事件の概要と美夜のこれまでの言動を照らし合わせた結果、美夜は佳苗に対してマイナスな感情を抱いていたと思われる。
夜空に向けて紫煙を吐き出す愁は何も言わない。無言は肯定の証と捉えて九条は話を進めた。
『あの事件で殺された不動産会社の社長は、同じ日に援助交際相手の女子高校生を殺してる。被害者の佐倉佳苗は神田の同級生だ』
『……そうですか』
『知ってたのか?』
『彼女が埼玉の出身だとは聞いていましたが、同級生の事件は初めて知りました』
淡々とした愁の口調に変化はない。美夜の過去を本当に知らなかったのか、知っていて今初めて知った風を装っているのか。
刑事としては半人前の九条には、愁のポーカーフェイスの奥は読めない。
『神田は佐倉佳苗の死体の第一発見者だった』
『話の筋が見えませんね。彼女と同級生の死に何の関係が?』
『神田は人の殺意に同調しやすい。これまでも事件の被疑者に何かにつけて執着されている。普段はまったく動揺しねぇくせに刑事らしくないだの、自分と同じ匂いがするだのと被疑者に言われただけで動揺して、被疑者にシンパシーを感じている時もあった』
デリヘル嬢連続殺人事件の犯人、陣内克彦に“どうしてそちら側にいる”と問われた美夜は返す言葉を失い、放心していた。
江東区看護師殺人事件の犯人の玉置理世が取り調べの担当刑事に美夜を指名した理由は、理世が美夜を“人を殺せる人種”だと察したから。
サラリーマン連続殺人事件を起こした西村光にも、美夜は何かしらのシンパシーを感じていた。光の最後の犯行と自殺を食い止められなかったことを彼女は悔いている。
犯罪者達は美夜の心に潜む闇を巧みに見抜き、彼女の闇に同調する。美夜もまた、犯罪者の闇に同調していた。
『これは俺の憶測だが、佐倉佳苗が殺されて神田はホッとしてしまったんじゃないかと思う。佳苗はアイツの父親とも援交していたようだから、佳苗がしてることを神田は許せなかったかもしれない』
『そういう感情を否定はしませんよ。誰にでも嫌いな人間がいなくなってくれたらと願う感情はある』
『そうだな。俺も否定はしない。……いや、半年間、神田と一緒にいて、そういう感情を否定できなくなった。理解はできないが否定もできない』
佐倉佳苗殺しの事件の概要と美夜のこれまでの言動を照らし合わせた結果、美夜は佳苗に対してマイナスな感情を抱いていたと思われる。