〜Midnight Eden〜 episode5.【雪華】
それでもまだ身元が不明の人間がいる。反対派メンバーリストの顔写真とも一致する人間がいない最後のひとりは、三十代前後の男だ。
上野一課長の指示で、防犯カメラに記録された身元不明の男の映像を愁に確認してもらう。パソコンの前に腰を降ろした彼は、画面に出現した挙動不審な男を凝視した。
滝本や木羽会のチンピラは言わずもがな、若年層で女性の河原水穂や宮島知佳でさえ堂々と武器を構えて学校に侵入している。けれど最後まで身元不明のこの男だけが、キョロキョロと不安げに周りを気にしていた。
『コイツ……巻田だ』
「知り合い?」
『今年の初めに解雇したうちの元社員』
「解雇理由は?」
『あまり口に出したくねぇが、女子更衣室と女子トイレの盗撮と盗聴。一部の女子社員の告発で発覚したんだが、会社としては被害届は出さずに巻田の解雇で事を終わらせた。犯人グループにいるってことは、巻田の動機は解雇が不服の逆恨みだろうな』
最後のひとりは夏木コーポレーションの元社員だった。これで全員の身元が判明したが、愁の物言いに美夜は多少の引っ掛かりを感じた。
「どうして会社は被害届を出さなかったの?」
『内部告発者が巻田の元カノだった事情でプライベートの恨みと会社の問題が混みあって厄介だったんだ。だから警察沙汰にしなかっただけ』
巻田の個人情報は愁が夏木コーポレーションの人事部長に連絡をとり、対策本部宛に巻田のデータを送るよう取り計らってくれた。
男のフルネームは巻田恒星。出身地と出身校が東京の巻田と、千葉県在住のリゾートホテル計画反対派メンバーとの接点は見当たらない。
やはり犯人グループは、雪枝が利用する匿名チャットアプリで知り合った可能性が高い。
夏木十蔵や夏木コーポレーションへの復讐が目的の者、夏木舞への恨みなど犯人グループの動機は様々。
夏木十蔵が謝罪会見を開かないとなると、タイムリミットの16時までに人質救出と犯人グループを逮捕しなければならない。
爆弾が仕掛けられた場所は、舞と雪枝がいる高等部一年生C組の教室だ。爆弾のタイマーは16時ジャストにセットされている。
どこで手に入れたか知らないが、爆弾は軍事テロに使用される爆弾と同種。
爆発すれば学校の校舎も周辺のオフィスビルも簡単に吹き飛ばせる威力があり、近隣の企業や住宅にも被害が及ぶ。爆発による死者数は、校内の人質も含めて二千人規模と想定された。
最優先は夏木舞の保護と人質一四〇〇人の救出。リアルタイムでこちらに送られる防犯カメラ映像を確認すると、雪枝以外の犯人グループ十人は校内に散らばっている。
グループの実質的なリーダーと思われる滝本は、5分前にエントランスの防犯カメラがその姿を捕らえた。
上野一課長の指示で、防犯カメラに記録された身元不明の男の映像を愁に確認してもらう。パソコンの前に腰を降ろした彼は、画面に出現した挙動不審な男を凝視した。
滝本や木羽会のチンピラは言わずもがな、若年層で女性の河原水穂や宮島知佳でさえ堂々と武器を構えて学校に侵入している。けれど最後まで身元不明のこの男だけが、キョロキョロと不安げに周りを気にしていた。
『コイツ……巻田だ』
「知り合い?」
『今年の初めに解雇したうちの元社員』
「解雇理由は?」
『あまり口に出したくねぇが、女子更衣室と女子トイレの盗撮と盗聴。一部の女子社員の告発で発覚したんだが、会社としては被害届は出さずに巻田の解雇で事を終わらせた。犯人グループにいるってことは、巻田の動機は解雇が不服の逆恨みだろうな』
最後のひとりは夏木コーポレーションの元社員だった。これで全員の身元が判明したが、愁の物言いに美夜は多少の引っ掛かりを感じた。
「どうして会社は被害届を出さなかったの?」
『内部告発者が巻田の元カノだった事情でプライベートの恨みと会社の問題が混みあって厄介だったんだ。だから警察沙汰にしなかっただけ』
巻田の個人情報は愁が夏木コーポレーションの人事部長に連絡をとり、対策本部宛に巻田のデータを送るよう取り計らってくれた。
男のフルネームは巻田恒星。出身地と出身校が東京の巻田と、千葉県在住のリゾートホテル計画反対派メンバーとの接点は見当たらない。
やはり犯人グループは、雪枝が利用する匿名チャットアプリで知り合った可能性が高い。
夏木十蔵や夏木コーポレーションへの復讐が目的の者、夏木舞への恨みなど犯人グループの動機は様々。
夏木十蔵が謝罪会見を開かないとなると、タイムリミットの16時までに人質救出と犯人グループを逮捕しなければならない。
爆弾が仕掛けられた場所は、舞と雪枝がいる高等部一年生C組の教室だ。爆弾のタイマーは16時ジャストにセットされている。
どこで手に入れたか知らないが、爆弾は軍事テロに使用される爆弾と同種。
爆発すれば学校の校舎も周辺のオフィスビルも簡単に吹き飛ばせる威力があり、近隣の企業や住宅にも被害が及ぶ。爆発による死者数は、校内の人質も含めて二千人規模と想定された。
最優先は夏木舞の保護と人質一四〇〇人の救出。リアルタイムでこちらに送られる防犯カメラ映像を確認すると、雪枝以外の犯人グループ十人は校内に散らばっている。
グループの実質的なリーダーと思われる滝本は、5分前にエントランスの防犯カメラがその姿を捕らえた。