〜Midnight Eden〜 episode5.【雪華】
 二階が中等部一年生の教室、書道室と礼法室、三階に中等部二年生の教室と美術室が二つ。
四階は中等部三年生の教室、中等部と高等部それぞれの生徒会室。A棟とB棟を繋ぐ渡り廊下がある階は二階と四階だ。

 五階に高等部一年生、六階に高等部二年生、最上階の七階が高等部三年生の教室となり、ドーム型屋上プールはその上。
美夜達が目指す舞と雪枝のクラスは五階の高等部1年C組。裏門から最も遠い場所だった。

 犯人グループが立てこもりっている建物はA棟だけではない。敷地中央部に位置するB棟は、地下一階の地上四階建て。

 B棟地下一階は剣道場と弓道場、一階が高等部職員室と中等部職員室、放送室、事務室、中等部校長室、高等部校長室、二階が多目的学生ホール、三階が図書室と自習室。
四階が中等部高等部兼用のカフェテリア。

 四階のカフェテリアには、B棟にいた高等部と中等部の教員が集められている。サイバー犯罪対策課が学校のセキュリティシステムのハッキングに成功したおかげで、校内の防犯カメラの映像はすべてリアルタイムで対策本部のパソコンに届いていた。

現在、B棟内で姿が確認できた犯人グループは三人。ペンション元経営者の新堂夫妻と喫茶店元マスターの安西智人だ。

 語学や理科系の特別教室が配置された東側のC棟は、L字を逆さまにした形の五階建て。C棟は裏門の目の前にある。
C棟を占拠しているのは、木羽会の二人組とリゾート開発反対派では最年少だった飯森裕久の三人。

 まず九条が門扉の柵に両手と両足を引っ掛けてよじ登り、彼は軽々と門を乗り越えた。音を立てずに地面に着地した九条に続いて、愁が門を越える。

 男二人は軽々と越えられる開かずの門も、女の美夜には一苦労だ。自分の身長よりも背の高い門扉の柵に手をかけ、体重移動を繰り返して上に登る。

高所恐怖心ではなくとも門の頂点まで来れば微かな恐怖に襲われる。ここで犯人に狙撃されたら美夜は一貫の終わりだ。

 慎重に柵の向こう側に足を引っ掻け、頂点を乗り越えた。愁と九条はこの地点から飛び降りていたが、さすがに彼らと同じ真似はできない。
視線を下ろすと、愁がこちらに向けて片手を伸ばしていた。

『落ちたら受け止めてやるよ』
『俺達のどっち側に落ちるか考えておけよ』
「落ちません」

 美夜の真下で待機する男二人の視線を肌に感じつつ、アルミの柵の中間部まで足を下ろした彼女は、愁の手も九条の手も借りずに軽やかに地面に着地した。

普通の女は怖くて降りられないと甘えて男の手を借りるだろう。しかし美夜は刑事であり、今は捜査中。こんな時に女扱いは不要だ。
愁と九条も、美夜がそういう女ではないとわかっていた。
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