〜Midnight Eden〜 episode5.【雪華】
滝本は夏木会長の謝罪会見がなければ、16時の爆発と共に一四〇〇人の人質を巻き込んで死ぬ気だ。むしろそれが夏木十蔵の罪の重さを世間に訴えかける唯一の手段だと、滝本は信じている。
この犯罪は予《あらかじ》め自爆を想定したテロ行為。
後方の殺気を感じ取った美夜達は瞬時に三方向に散った。細腕でナイフを振り回すひょろりとした体格の男は、堂々とした佇まいの滝本とは違って怯えている。
インカムに届いた情報ではひょろりとした男はリゾートホテル計画反対派最年少の飯森裕久。
滝本と飯森が同時に攻撃を仕掛けて来た。飯森は血走った眼で喚《わめ》きながら美夜に突進してくる。
女の美夜が最も狙いやすいと飯森は考えたのだろうが生憎《あいにく》、美夜は刑事だ。
向かってくるナイフの刃先をかわして腕を捻り上げ、ナイフを払い落とした。美夜の肘打ちが飯森の首に入った直後、愁が飯森の顔を蹴り飛ばす。
美夜と愁の連携攻撃で、ひょろりとした男は呆気なく倒れ伏した。
『コイツもしかして一番弱い奴?』
「弱いからめちゃくちゃに武器を振り回すのよ。こっちはこれで片付いたけど問題は……」
スポーツジムトレーナーの滝本航大は空手三段の有段者。
俊敏な動きで次々と空手技を繰り出す滝本に、九条は苦戦を強いられている。九条だけでは滝本に太刀打ちできない。
『裕《ひろ》を離せ!』
『離せって言われて離す馬鹿はいねぇよ』
仲間の飯森が倒されたことで、滝本の怒りのスイッチが入った。わずかに防御が遅れた九条の腹に滝本の拳がめり込んで、咳き込んだ九条がうずくまる。
防弾ベスト越しでも拳の衝撃は食い止められない。
「九条くんっ!」
気絶した飯森の両手に手錠をかけ、九条の応戦に向かおうとした美夜は不意に愁に腕を引かれた。
そのまま近くのベンチの裏に引きずり込まれた刹那、耳を劈《つんざ》く発砲音と甲高い音が地面に轟いた。
たった今まで美夜が立っていた場所にめり込んだ銃弾。九条と滝本に気を取られていた彼女は、狙撃の気配にまるで気付かなかった。
「銃弾……どこから……」
『B棟外階段の下』
弾避けに利用したベンチの背もたれから姿勢は低くしたまま、目線だけを上げる。愁の言った通り、B棟の外階段の下に男がいた。
男は銃を構えながら、空いた片手の人差し指を空に向けて折り曲げ、挑発のジェスチャーを残して走り去った。
この犯罪は予《あらかじ》め自爆を想定したテロ行為。
後方の殺気を感じ取った美夜達は瞬時に三方向に散った。細腕でナイフを振り回すひょろりとした体格の男は、堂々とした佇まいの滝本とは違って怯えている。
インカムに届いた情報ではひょろりとした男はリゾートホテル計画反対派最年少の飯森裕久。
滝本と飯森が同時に攻撃を仕掛けて来た。飯森は血走った眼で喚《わめ》きながら美夜に突進してくる。
女の美夜が最も狙いやすいと飯森は考えたのだろうが生憎《あいにく》、美夜は刑事だ。
向かってくるナイフの刃先をかわして腕を捻り上げ、ナイフを払い落とした。美夜の肘打ちが飯森の首に入った直後、愁が飯森の顔を蹴り飛ばす。
美夜と愁の連携攻撃で、ひょろりとした男は呆気なく倒れ伏した。
『コイツもしかして一番弱い奴?』
「弱いからめちゃくちゃに武器を振り回すのよ。こっちはこれで片付いたけど問題は……」
スポーツジムトレーナーの滝本航大は空手三段の有段者。
俊敏な動きで次々と空手技を繰り出す滝本に、九条は苦戦を強いられている。九条だけでは滝本に太刀打ちできない。
『裕《ひろ》を離せ!』
『離せって言われて離す馬鹿はいねぇよ』
仲間の飯森が倒されたことで、滝本の怒りのスイッチが入った。わずかに防御が遅れた九条の腹に滝本の拳がめり込んで、咳き込んだ九条がうずくまる。
防弾ベスト越しでも拳の衝撃は食い止められない。
「九条くんっ!」
気絶した飯森の両手に手錠をかけ、九条の応戦に向かおうとした美夜は不意に愁に腕を引かれた。
そのまま近くのベンチの裏に引きずり込まれた刹那、耳を劈《つんざ》く発砲音と甲高い音が地面に轟いた。
たった今まで美夜が立っていた場所にめり込んだ銃弾。九条と滝本に気を取られていた彼女は、狙撃の気配にまるで気付かなかった。
「銃弾……どこから……」
『B棟外階段の下』
弾避けに利用したベンチの背もたれから姿勢は低くしたまま、目線だけを上げる。愁の言った通り、B棟の外階段の下に男がいた。
男は銃を構えながら、空いた片手の人差し指を空に向けて折り曲げ、挑発のジェスチャーを残して走り去った。