〜Midnight Eden〜 episode5.【雪華】
「うちの親どっちも性格最悪の毒親なんだ。家では私と勇喜、お互いだけが味方だった。離婚した後も勇喜とはずっと連絡し合ってたの」
離婚後、水穂は母親に、勇喜は父親に引き取られた。
鑑別所で勇喜のカウンセリングを担当したカウンセラーの話では、勇喜が幼い頃から両親の仲は冷えきっていた。子どもが健全な精神を養える家庭環境ではなかったそうだ。
21世紀の切り裂きジャックに心酔した勇喜の女児や女性に向けられた破壊衝動は、長年蓄積された両親への不満やストレスが起爆剤となったのではと、カウンセラーは見解を示した。
その見解は、同じ家庭環境で育った姉の水穂にも当てはまる。
「私、高校デビュー失敗組なの。受験の時に試験監督だった先生に一目惚れして、先生に好かれたくて目立とうと頑張って陽キャになろうとして、調子乗っちゃって。同じクラスのカースト上位の女に嫌われて、いじめのターゲットになった。でも先生が絵茉を殺してくれた時はスカッとしたなぁ……。絵茉はカースト上位のグループに金魚の糞みたいにくっついて、一緒に私をいじめてきたの」
“先生”と“絵茉”、これだけ情報が揃えば水穂が萌子を殺した動機の想像は容易かった。
21世紀の切り裂きジャックに傾倒していた人間は、萌子と勇喜だけではない。
「一目惚れした先生が陣内克彦?」
「そうだよ。先生が殺人犯って知って嬉しくなったんだ。先生も私と同じ種類の人間だった。先生は常識に囚われない人。誰とも群れずに飄々としてかっこよかった」
水穂や萌子、勇喜も、心に闇を抱えた者はある種のアウトローに引きずられる。健全な精神の人間が忌み嫌う存在を慕い、憧れの対象とする。
SNSでも21世紀の切り裂きジャックや月曜日の切り裂きジャックを称賛する声が見受けられた。過去には、犯罪組織カオスやカオスのキングにも熱烈な狂信者やファンがいたと聞く。
人質の少女に美夜は視線を送った。震える少女は美夜の視線と同じ方向を見つめ、そこにいる愁とも少女は視線を交えた。
女は好きな男の話をいつまでも語りたがる。水穂は陣内の話題に酔っていて美夜と少女のアイコンタクトにも気が付かず、美夜の時間稼ぎにも気付かなかった。
「私と勇喜は歳は違っても双子みたいに考えや行動がシンクロするの。思ってることがいつも同じ。陣内先生の真似をして人を切ってみたいと言った私に、勇喜は同調してくれた。最初に私が小学生を切って、次が勇喜。私も勇喜もだんだん止まらなくなった。人を切るって愉《たの》しいよね。小学生じゃ物足りなくてさぁ、萌子の身体をグサッとやった時の快感は気持ち良かった」
もうひとりの月曜日の切り裂きジャックが、狂った素顔を露にする。勇喜の破壊衝動よりも強い殺人衝動をもて余した水穂の闇が、萌子と巻田を切り裂いた。
離婚後、水穂は母親に、勇喜は父親に引き取られた。
鑑別所で勇喜のカウンセリングを担当したカウンセラーの話では、勇喜が幼い頃から両親の仲は冷えきっていた。子どもが健全な精神を養える家庭環境ではなかったそうだ。
21世紀の切り裂きジャックに心酔した勇喜の女児や女性に向けられた破壊衝動は、長年蓄積された両親への不満やストレスが起爆剤となったのではと、カウンセラーは見解を示した。
その見解は、同じ家庭環境で育った姉の水穂にも当てはまる。
「私、高校デビュー失敗組なの。受験の時に試験監督だった先生に一目惚れして、先生に好かれたくて目立とうと頑張って陽キャになろうとして、調子乗っちゃって。同じクラスのカースト上位の女に嫌われて、いじめのターゲットになった。でも先生が絵茉を殺してくれた時はスカッとしたなぁ……。絵茉はカースト上位のグループに金魚の糞みたいにくっついて、一緒に私をいじめてきたの」
“先生”と“絵茉”、これだけ情報が揃えば水穂が萌子を殺した動機の想像は容易かった。
21世紀の切り裂きジャックに傾倒していた人間は、萌子と勇喜だけではない。
「一目惚れした先生が陣内克彦?」
「そうだよ。先生が殺人犯って知って嬉しくなったんだ。先生も私と同じ種類の人間だった。先生は常識に囚われない人。誰とも群れずに飄々としてかっこよかった」
水穂や萌子、勇喜も、心に闇を抱えた者はある種のアウトローに引きずられる。健全な精神の人間が忌み嫌う存在を慕い、憧れの対象とする。
SNSでも21世紀の切り裂きジャックや月曜日の切り裂きジャックを称賛する声が見受けられた。過去には、犯罪組織カオスやカオスのキングにも熱烈な狂信者やファンがいたと聞く。
人質の少女に美夜は視線を送った。震える少女は美夜の視線と同じ方向を見つめ、そこにいる愁とも少女は視線を交えた。
女は好きな男の話をいつまでも語りたがる。水穂は陣内の話題に酔っていて美夜と少女のアイコンタクトにも気が付かず、美夜の時間稼ぎにも気付かなかった。
「私と勇喜は歳は違っても双子みたいに考えや行動がシンクロするの。思ってることがいつも同じ。陣内先生の真似をして人を切ってみたいと言った私に、勇喜は同調してくれた。最初に私が小学生を切って、次が勇喜。私も勇喜もだんだん止まらなくなった。人を切るって愉《たの》しいよね。小学生じゃ物足りなくてさぁ、萌子の身体をグサッとやった時の快感は気持ち良かった」
もうひとりの月曜日の切り裂きジャックが、狂った素顔を露にする。勇喜の破壊衝動よりも強い殺人衝動をもて余した水穂の闇が、萌子と巻田を切り裂いた。