パーフェクト・フィグ
「損得で医者してない」
「わかってる」
「わかってない」
「…」
「…君にはわからない」
すみれが足をぶらつかせ、
勢いよく立ち上がった。
もういい。
そう言っている気がした。
すみれはいつものように
ふらふらと歩き出した。
「…わかった」
人と話すのは得意じゃない。
いつも、上手く伝わらない。
でも今は、
それではいけないのだろう。
雅俊は今にも暗闇に消えていきそうな
すみれの背中に向かって言った。
「俺が…止めてやる」
足を止めたすみれが、
振り返って小さく首を傾げた。
雅俊は構わず続けた。
「お前がまた暴走しようとしたら、
俺が止めてやる。
見ててやるから、
お前はお前らしくまたやっていけばいい」
「ぇ…」
すみれは大きな目を、
更に大きく見開いた。