青の葉の、向かう明日。
船は相変わらずオンボロだった。

塗装はハゲているし、金属部分は茶色く錆び付いているし、もちろん昔より汚くなった。

それなのに壊されないのは、この船が江波くんのおじいちゃんが初めて乗った思い出深い船で、おじいちゃんが亡くなったら一緒に海に還ると生前から遺言を預かっているから。

地元の人は周知の事実なので誰も手を触れていないんだ。


「久しぶりだな、ここ」

「うん…」


江波くんが先に腰掛け、私もその斜め向かいに座る。

こんなに窮屈だったっけ?

と思ったけど、よくよく考えたら私たちはあれから成長したのだから当たり前のことなんだとすぐに気づいた。

だから、か。

すごく近く感じる。

早くここから出たい…。

そもそも話すって言っても何を話せばいい?

私…分からないよ。

振られたからもう2度と口をきいてもらえないんじゃないか、なんて思ってたくらいだし。

こんなことになるなんて、

本当に、

なんで?


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