青の葉の、向かう明日。
ーードタン。


ドアの開閉音で目が覚めた。

類が上がって来たということは…

頭で予想してから枕元の目覚まし時計に手を伸ばした。

やはり針は11時を指していた。

両親もそろそろ寝る頃だし、やっとお腹が空いてきたからなんか食べよっと。

とは言っても浮かれてチキンを食べようなんて思わない。

近所のコンビニでおでんでも買ってこよう。

部屋着(中学時代のジャージ)にダウンを羽織り、あたしは家を出た。

まだちらほら人も歩いているし、なんなら浮かれた中高生カップルみたいな人たちともすれ違うから大丈夫だろう。

さっと行ってさっと帰ってこよう。

あたしはコンビニに猪突猛進し、好きなおでんの具を選び、それだけじゃ足りないし寒いからとペットボトルのお茶を買って急いで出て来た。

よーし、帰ってぼっちおでんクリスマスパーリナイだ!

なんて、深夜テンションかましていたのに、

あたしは帰路で出くわしてしまったのだ。


「あれって…」


視界に見覚えのある顔が映った。

うちの近所のマンションに母親2人と住んでいるとは知っていたけど、こんな夜更けにカップルが2組いる公園でぼっち決め込んで、あの子は一体何をしてるんだろう? 

しばらく人と会ってないし、ましてやクラスメイトなんて本当は遭遇さえも怖いのに気づいたらあたしは彼に近付いていた。


「メリクリ」


そう言って彼の頬目掛けて熱いペットボトルを当てると、彼は慌てふためいた。


「あっつ…!」

「メリクリって言ったのに、そんな返しありますか、少年?」


彼があたしの顔を見る。

きっと彼にとってあたしは今1番会いたくない存在だろう。

そのくらいあたしにも分かる。

それでもなんか話しかけなきゃなって思ったのは、きみが寂しそうな顔をしていたから。

あたしもその寂しさを知ってるから。

辛いって、

痛いって、

苦しいって、

知ってるから。

< 25 / 70 >

この作品をシェア

pagetop