青の葉の、向かう明日。
「なんで君がここにいるの?俺、君だけには会いたくないんだけど」

「あたしも出来れば誰にも会わずにこのまま不登校決め込んで卒業したかったんだけど、ね。きみが慰めてほしそうに、ぼっちでたそがれてるから…ほっとけなくて」

「ほっといてよ。君には関係ないじゃん。…くっしゅんっ!」


彼が盛大なくしゃみをした。

あたしは笑いながらもペットボトルの蓋を開け、彼の前に突き出した。


「風邪ひいちゃう。ううん、予備軍。今大事な時期なんでしょ?これ飲んであったまって」

「いいって」

「素直じゃないなぁ。買った本人が許可出してるんだからいいの。ほら、早く飲んで」

「お茶強要の罪で逮捕する」

「出来るもんならしてみなよ。てか、そんな茶番はいいから、ほーら、早く」


観念したのか、彼はペットボトルに口をつけた。

相当喉が渇いていたのか、ごくごくと半分くらいまで飲んでいた。


「んだよ、その顔。満足か?なら帰ってくれ。しっし」


あたしは首をぶんぶん振った。


「話聞いて欲しそうな顔してる」

「そんな顔してない。むしろ嫌だ。帰れ」


嫌われてるのは分かってる。

ずっと前から知ってる。

あたしだけじゃない。

女子全員を怪訝そうな目で見ていた。

ある1人の例外を除いて。


「有となんかあった?」


彼の腕がぴくっと動いた。

どうやら図星だったようだ。


「君さ、有とあんなことあったのによく平気で名前出せるよね?」

「平気…なわけないじゃん。あたしだってあの日のこと後悔してるし、それに…」

「なら今すぐ謝れ。有だけあんなに傷ついてあんな目にあって…!可哀想だろ?!お前の方が加害者のくせに不登校やって悲劇のヒロインぶりやがって!ヘラヘラしてんじゃねーよ!」


…ごめん。

そう、だよね。

悪いのは、あたし。

本当の加害者はあたしなんだ。

君は、大事な人を傷つけられてほんとはずっとこんな風に怒りたかったはず。

泣きたかったはず。

なのに、その感情をぶつける対象がいなかったから、

変に気を遣って、

無理して笑って、

無理して笑わせようとして、

きっとそうやって生きて来たんだろうなって、

あたしになら、分かるんだよ。

なんでだか、

君のことは

自分のことのように分かる。
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