青の葉の、向かう明日。

真実の、先で。

年が明け、冬休みが終わり、あたしは学校に戻った。


「明ちゃんおかえり」

「怪我はもう大丈夫なの?」

「うん、大丈夫」


皆が眩しくて目を細めてしまうくらいの笑顔を見せてくれる。

あたしはその度に胸が苦しくなった。

でも、もう決めたから。

ちゃんと言うって、決めたのだから。

あたしは廊下側の1番後ろの席で冷たい視線を向けられ、息を潜めることしか出来ていないあの子を見つめた。

…大丈夫。

もう、大丈夫だよ。

今度はあたしが、

そっちにいく番。

ううん、

金輪際、

一生、

永遠に。

あたしは笑顔を掻き分けて言葉を放った。


「ごめんなさい。あたし…嘘をつきました」


その瞬間、教室中の視線があたしに集まった。

そう、それでいい。

皆が矢を放つ相手はあたしだよ。


「どういうこと?」


誰かがそう言ってくれて、あたしは自然に話し始めることが出来た。


「皆さあたしのスマホにメッセージくれたよね?だからクラス中の怒りの矛先が有に向いてるのは分かってる。でもね、それは間違いなんだ。本当に悪いのは…あたし。全部あたしの自作自演。あたしが書いた脚本は有の小説のパクリ。それを指摘されて勝手に怒り狂って足を滑らせて怪我した。突き落とされてなんていない。別に有が可哀想だからって庇ってるわけでもない。本当にあたしが悪いの。あたしは自分が大好きでものすごく自己中でズルいやつだから、ほとんど皆が学校に来ない3学期にひょこひょこやって来て真実を伝えようと思い立ったんだ。騙していてごめんなさい。それに…有」


有がまん丸の瞳いっぱいに涙を溜め込みながらこちらに視線をくれる。

…ありがとう。

…ごめんね。

こんな形でしか伝えられないけど

傷ついた分、

いやそれ以上、

何倍も何百倍も、

幸せになって。

…笑って、ね。

あたしにオススメの小説を教えてくれたり、

あたしに好きな人のことを話してくれたりした時みたいな

可愛い笑顔で

あなたの大切な人を

あなたを大事に想う人たちを

幸せにしてあげて。


あたしは深呼吸をし、言った。


「許してくれなくていいから、ただ聞いて。ごめんね。それと…ありがと」

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