青の葉の、向かう明日。
クラスメイトから冷たい視線を浴びたり、罵倒されたりすると思っていた。

でも、実際にはそんなことはほとんどなかった。

出席日数の関係で真面目に毎日登校しても無視をされるくらいでほんとに何もされなかった。

これはあたしの想像でしかないけど、有が江波くんに頼んだのだと思う。

明ちゃんが攻撃されないように皆にお願いしてほしい、って。

江波くんはクラスのムードメーカーで人を取りまとめるのがうまい。

内向的な有にとって自分とは対照的でまるで太陽のような彼に惹かれるのは必然だと思う。

って、話が脱線してるけど、まぁ結局は元親友とその彼氏に助けられてしまったということ。

最後の最後まで迷惑をかけてしまった。

ほんと、ダメダメだなあたし。

何が元演劇部だ。

笑っちゃうよ。


「何笑ってるんだよ」

「ん?」


変にニヤけていたから、物好きな誰かに話しかけられてしまったようだ。

もう帰ろうとしていたのに厄介だ。

なんて思いながら振り返ると、彼がいた。

…そういうこと?

だろうね。

クラスメイトからのLINEが本当だったら、この人があたしに構っている暇なんてないのだから。


「有に振られた?」

「は?」

「なんかあたしがいない間にあっちが離れてこっちがくっつくと思ってたのに、結局元鞘に戻ったのかぁ」


というよりそうなって欲しかったのだけど。

色々考えて結果的にそういう風になるように仕向けたのだけれど。

人生うまくいかないことばかりだ。


「あのさ、放課後暇なら付き合ってほしいんだけど。アンタとは色々話しておきたいし、聞きたいこともある」

「あぁ、ユウヅキ…」

「それ以上言うな。誰かに聞かれたらどうすんだよ」

「別にどうもならないと思うけど。芸能人かなんかの話だと思うんじゃない?そんなオシャレな名前の人がこんな田舎の高校にいるわけないし」

「…ま、そっか」


意外とすんなり受け入れた。

ふふん、面白いやつじゃん。

あたしはちょっとだけ相好を崩しつつ、スクバを持って立ち上がった。


「どこで話すの?君が誘ったんだよ。ちゃんとエスコートしてよ」

「あ、ちょっと待って」


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