青の葉の、向かう明日。
あたしはなぜか入塾体験を受けることになった。

そもそも彼は今日も塾だったようで21時までは出られない。

その間どっかで時間を潰しても良かったのだけれど、彼が許さなかった。


➖➖一応共通受けるんだろ?なら、勉強しなきゃ。

➖➖1人にしたら勉強しなさそうだから一緒に来て。


あたしの将来なんて彼に全く関係ないはずなのに、なぜか心配されていることに驚いた。

ほぼ喋ったことない人間によくもまあそんなに関心を持てるものだなぁとあたしの方が感心してしまった。

入塾体験を受け、自習室を借りて勉強を続けること約4時間。

ようやくその時が訪れた。


「ちゃんと勉強した?」

「それはまあもちろん。この2ヶ月サボってたから出来はかなり悪いけど」

「でもアンタさぁちゃんと努力出来るタイプだよね。ほら、1年の頃から100番以内には入ってるじゃん」

「えっ…。あ、まぁ」


思ったより見られていたみたいでビックリした。

いや、ビックリというより、

ドキドキ、だ。

だって、この人の瞳は不純物なんて全く含んでいなそうですごく透き通ってるから。

こんな瞳に直視されたら心停止してしまう。

本人は無自覚だけど、多くの女子を虜にしているのは確かだから。

恐るべしだ。

それはともあれ、あたしは胸の高鳴りを悟られぬよう出ていく生徒に視線を向けたまま口を動かした。


「そんなことはいいから早く行こ。あたし待ちくたびれたよ」

「はいはい」


呆れながらも彼はあたしの後をおとなしく着いてきた。

結局辿り着いたのはこの前の公園だった。

この公園が数々の伝説を残していることはあたしだけが知ってる事実。

なんならそこもついてみようかな?

あたしがあのことも知ってるってなったら尚更びっくりするよね?

性悪なのでとことん振り回しますが。

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