青の葉の、向かう明日。
冬休み明け最初の登校日。

あの事件以降不登校だった明ちゃんが教室にいた。

私は目を疑った。

もう2度と顔を合わせることもないだろう。

私たちの関係はこのまま終わってしまうのだろう。

そう勝手に思っていたから。

そして、明ちゃんはクラスメイトにあの日のことを嘘偽りなく話した。

私が実際に体験したそれとほぼ相違はなかった。

足を滑らせた、というところ以外は。

言葉にしたら縁起が悪いからあまり言いたくないのだけれど、あの時の明ちゃんはまるで…自殺するみたいだった。

表現するなら、右足を虚空に力無く突き出す、みたいな。

いつも笑っているから気づかなかったけど、明ちゃんはスランプだったんだ。

晴くんが演劇部員に聞き込みしてくれたから、私も今更ながら分かった。

文化祭の脚本を思うように書けなくて、でも〆切は近づいてきていて、それで良さげなのを真似るしかないってなって、それで…。

そんな背景を知らない私は問いただして、ボロボロの明ちゃんにトドメを刺してしまったんだ。

悪くない、わけない。

どうにかして謝りたい。

でも、明ちゃんは言った。


「許してくれなくていいから、ただ聞いて。ごめんね。それと…ありがと」


許してくれなくていい。

ごめん。

ありがとう。


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