青の葉の、向かう明日。
言葉に光なんて感じられなかった。

その先は真っ暗闇に見えた。

まるでそれを望んでいるかのように聞こえた。

私は、そんなのはあんまりだと思った。

明ちゃんは確かに悪いことをした。

悪いことをして私を悪者に仕立て上げた。

けど、だからって、そこに至るまでの全てが悪だったとは言い切れない。

この事件の真相を聞いたクラスメイトの憎悪が全て明ちゃんに向けられてしまうって、バカな私でも分かる。

だから…止めなきゃ。

なんとかしなきゃ。

でも、なんとかって…。

どうすれば…。


「有、どうした?」


帰ろうとして下駄箱のスニーカーに手をかけたまま動かない私を見かねて晴くんが声をかけてくれた。

そっか…

私には晴くんがいるんだ。

ひとりぼっちじゃない。

1人で抱えなくていいんだ。

…言おう。

こんな大きな爆弾を1人で抱えていたらきっといつか爆発してしまう。

私は意を決して晴くんに相談した。

すると意外にもあっさり答えは出た。


「なら俺から皆にメッセージ送る。有が明と仲直りしたいって思ってるから、見守ってほしいって。それでも何かしら言うやつは必ずいる。そういうやつには言わせておくしかない。明自身も言ってたけど、3学期は別に来なくてもいいしな。言われるのがキツければ来なきゃいい話だし。まぁ、言う側も言われる側も時間と距離が出来れば自然と関心がなくなってそのうち忘れると思う。だから、俺たちは何事もないように願いながら日常を続けるしかない。それがきっと正しい」


さすが晴くんだと感心して思わず拍手してしまった。

いつも前向きで、今までもずっと私の前を歩いて道を示してくれた。

その背中を追うばかりで今はまだ何も出来ないけど、とりあえず隣に並べたから、

いつか晴くんが悩んだり迷ったりした時には私が前に立って、その手を取って歩けるように、

今からちゃんと自分の足で歩くよ。


「拍手はいいから。ほら、帰るぞ」

「あ、うん」


不意に握られた右手に微熱を感じながらも私は歩き出した。

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