青の葉の、向かう明日。
翌日。
バレンタインだから何があっても男子は全員集合するようにと晴くんが連絡してくれたおかげで、本当に男子は全員集まった。
女子はというと…。
教室中見回したけれど明ちゃんの姿はなかった。
せっかく作ったのに。
と気を落としている場合ではなかった。
私は放課後になるや否やさっさと皆の机にチョコを配り終え、彼が逃げないうちに捕獲すべくダッシュで昇降口に向かった。
「清澄くん!」
と声を張り上げなくても良かったみたいだ。
上履きは履いたままでスクバも持っていなかった。
「有が行くから待ってろって江波くんから言われた。なんて言うか…お人好しだよね、ありすの彼氏さん」
ありす…。
そうだった。
清澄くんは私のことをありすって呼んでたんだ。
しばらく呼ばれてなかったから忘れていたけど、その真相も教えてもらわなければならない。
だって私のペンネームを知ってるのは明ちゃんだけのはずだから。
恥ずかしいから晴くんにだって教えていないのだから。
「あ。さてはありす、彼氏のこと言われて照れてる?」
「い、いえ。そ、そんなことはなくて…。いや、あるかもしれないです、けど…」
「あはは。歯切れ悪すぎ」
清澄くんが笑っているところを久しぶりに見た。
そうだ。
こんな感じに笑う人だった。
いつもはツンとしてるのに笑うと無邪気な子どもみたいで。
この笑顔を私が守ることは難しいのだけれど、
それでも願うことは出来る。
伝えることが出来る。
それが今日なんだ。
1年でたった一度の特別な日。
大切な人に思いを伝える日。
私…伝えるよ。
私に温もりを与え続けてくれたあなたに贈ります。
バレンタインだから何があっても男子は全員集合するようにと晴くんが連絡してくれたおかげで、本当に男子は全員集まった。
女子はというと…。
教室中見回したけれど明ちゃんの姿はなかった。
せっかく作ったのに。
と気を落としている場合ではなかった。
私は放課後になるや否やさっさと皆の机にチョコを配り終え、彼が逃げないうちに捕獲すべくダッシュで昇降口に向かった。
「清澄くん!」
と声を張り上げなくても良かったみたいだ。
上履きは履いたままでスクバも持っていなかった。
「有が行くから待ってろって江波くんから言われた。なんて言うか…お人好しだよね、ありすの彼氏さん」
ありす…。
そうだった。
清澄くんは私のことをありすって呼んでたんだ。
しばらく呼ばれてなかったから忘れていたけど、その真相も教えてもらわなければならない。
だって私のペンネームを知ってるのは明ちゃんだけのはずだから。
恥ずかしいから晴くんにだって教えていないのだから。
「あ。さてはありす、彼氏のこと言われて照れてる?」
「い、いえ。そ、そんなことはなくて…。いや、あるかもしれないです、けど…」
「あはは。歯切れ悪すぎ」
清澄くんが笑っているところを久しぶりに見た。
そうだ。
こんな感じに笑う人だった。
いつもはツンとしてるのに笑うと無邪気な子どもみたいで。
この笑顔を私が守ることは難しいのだけれど、
それでも願うことは出来る。
伝えることが出来る。
それが今日なんだ。
1年でたった一度の特別な日。
大切な人に思いを伝える日。
私…伝えるよ。
私に温もりを与え続けてくれたあなたに贈ります。