青の葉の、向かう明日。
「…りょーかい」


清澄くんの手のひらが私の頭に乗った。

伝わる温度が心地良くて、安心して甘えてしまいたくなる。

ひとりぼっちだと思って苦しくて辛くてどうしようもない時に差し伸べられたこの手を、私はこれからもきっと忘れない。

ずっと覚えてる。


「ねぇ、ありす」

「…はい」


涙がポロポロと頬を伝う。

大丈夫だよって言わなくても顔を見れば伝わってしまうから余計に胸がぎゅうってなってたまに緩んで、その時に決壊してしまいそうになる。

私はなんとか堪えながら、清澄くんの顔を見上げた。


「ほとんど話したこともない人にどうして好意を抱かれたと思う?」

「ど、どうしてでしょう?」


清澄くんはふっと笑った。


「君の言葉に恋をしたから。言葉は人の内面を表すからね。使う言葉が美しくて、その言葉で紡がれる文章が、物語が…おれは好きだった。ありす、おれはね、ずっと前から有栖川るみなが大好きだったんだ」


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