青の葉の、向かう明日。
やっぱり私のペンネームが有栖川るみなだって知ってたんだ。

本名をちょっといじったら、たまたま『るみな』って名前になって、ルミナスー発光ー、ルナー月ーっぽくていいなぁなんて思って気に入ったんだ。

じゃあ…


「どうしてそれが私だって分かったんですか?」

「文章とか言葉選びのくせだよ。ありす…ううん、有は良く漢字でもいいところをわざとひらがなにしたり、句読点を多くして会話の息継ぎのタイミングを明確にしてた。現代文で感想をコピーされたりしたじゃん。あれ見て一発で分かったよ」

「そ、そんな…」


まるで呆気なく逮捕された犯人みたいだ。

でも、なんだろう。

不思議と心が軽くなった。

気持ちを伝えられて

謎が解けて

ほっとした。

あぁ、安心したらまた涙が出て来た。


「泣いてばっかじゃ彼氏が可哀想だよ。…有、笑って。笑ってくれた方が男としては助かるから。これから本番でしょ?泣くのはお終い」

「うん…」


私はハンカチでなんとか涙を拭い、見守ってくれた清澄くんにぺこりと頭を下げた。


「色々ありがとうございました」

「そんなんいいから。ほら、早く行ってあげて」

「はい…」


私は顔に神経を全集中させて口角を上げた。

清澄くんが親指を立てる。


「よく出来ました。それじゃあ…行ってらっしゃい」

「行ってきます」


私は駆け出した。

私を信じて送り出してくれた

何よりも

誰よりも

大切な人のところへ。



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