青の葉の、向かう明日。
共通テストの出来は散々だった。

勉強していなかったからとかじゃなく、やはり純粋に体調が悪かった。

途中お腹の痛みに耐えきれなくなって一度退席し、試験の部屋に戻るまでに20分かかった。

それからはどうにかこうにかして耐え抜いたけど、最後の10分でテキトーにマークした教科がほとんどでもう絶望だった。

あたしの前の席だった彼はあたしの不調を知っていたからかあたしを弄ったりもせず、ただお疲れ様と言って会場を後にした。

あたしは母の迎えが来るまでベンチに座ってぼけーっとしていた。

すると、数メートル先を見覚えのある人たちが通り過ぎた。

有と江波くん、だった…。

ヨリを戻した2人はきっと答え合わせなんかしながら仲良く帰るのだろう。

あたしは…

ひとりぼっちだ。

やがて周りには誰も居なくなった。

迎えを待っていたであろう他校の生徒も一人残らず去っていった。

ヒューヒューと北風が激しく吹き荒れる。

寒すぎて手足は真っ赤で感覚など無い。

あぁ、早く帰りたい…。

心が冷え切っているというのに身体まで冷えたら、もうあたし凍え死んでしまうよ。


「お願い、早く…」

「おーい!お姉ちゃーん!」


諦めかけたところで類の声が聞こえた。

凛と透き通る声があたしの胸のど真ん中を射抜いた。

あたしはフラフラしながら出来る限りの全力で走り、温かい車内に飛び込んだ。


「お疲れ様。その様子じゃあ、お弁当食べられなかったんでしょ?」

「お姉ちゃん昔から本番弱いよね?いつもはわりと堂々としてるくせに。そういうとこいい加減治さないと社会に出た時に困るよ」

「あはは。そう…だよね。ごめん」

「もうしっかりしてよー。受験代かさむとお母さんピリピリして夕飯節約料理ばっかりになるんだから」

「類、もぉそんなこと言わないの。お姉ちゃんだって一生懸命やったんだから。明、気にしないでいいからね。寝て帰りなさい。ね?」

「うん…」


あたしはおとなしく母の言う通り寝ながら帰った。

夢の中でも受験を受けていてリラックス出来るわけがなく、家に着いて目覚めた時にはさらに疲れ果てていたのだった。

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