青の葉の、向かう明日。
「ん…んーん?」


うっすらと見える視界には、ところどころ灰色がかっていていかにも年季が入っていそうな白い壁が映り込んだ。

それにあたしが嫌いな独特の香りが鼻を刺激し、ツーンとなって痛い。

てか、もしかしてここって…


「病院…?」


意識的に手足をグーパーしてみる。

ちゃんと動いている。

管に繋がれていない右手で頬に触れてみる。

…あったかい。

あたし…生きてるんだ。


「ん?えっ…もしかして起きてる?」


今確かに声が聞こえた。

もしやあたしの良く知ってるあの人…?

ゆっくりと首を動かす。

向かいの部屋のカーテンの隙間から花瓶が見える。

あたしの部屋の椅子に腰掛ける人影が視界に入る。

間違いない。

彼だ。


「君、何してるの?」


あたしの質問に彼は何も答えない。

それなのに、なぜか頬を濡らしてこちらを見つめてくる。


「あのさ…ほんと、やめて欲しい。冗談でもこれは…きっついから」

「えっと、その…ごめん」

「とにかく、生きてて良かった…。先生呼んでくる」


あたしは病室から出ていく彼の背中を目で追った。

ずっと小刻みに震えていた。

あたしが…泣かせちゃったんだ。
 
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