外商部御曹司は先輩彼女に最上級のロマンスを提供する
「……」
無言で花岡君を睨む。
(やっぱり口調、砕けてる)
からかわれているにしては擽ったくて、もちろん見下されている気もしない。
「転籍のお話は光栄でありがたいと思っていますよ。だけど俺は深山さんの側で働きたいんです。うっとうしいかも知れませんが、足を引っ張らないよう頑張るので教育係を続行してくれませんか?」
「これは出世のチャンスでもあるのよ? いいの?」
「はい」
念押しに彼はお手本通りの笑みを浮かべた。
「ふぅん、次のチャンスがあるって自信がたるんだ?」
「またお話を頂けると信じたいです。そして今は自分にとって最良の選択をした、それだけですね」
「あぁ、そう」
つれない声を出す。ついでにこの流れはストールの件を伝えるのに丁度いいか。
「借りていたストールなんだけど……」
言い掛けたその時、ポケットの中の携帯電話が震える。着信相手はーー外商部と表記された。
「主任ですか?」
「たぶん佐竹さんだと思う。はい、深山ですが」
佐竹さんの名を聞き、花岡君の表情が曇った。わたしを案ずる目つきで会話へ聞き耳を立てる。
無言で花岡君を睨む。
(やっぱり口調、砕けてる)
からかわれているにしては擽ったくて、もちろん見下されている気もしない。
「転籍のお話は光栄でありがたいと思っていますよ。だけど俺は深山さんの側で働きたいんです。うっとうしいかも知れませんが、足を引っ張らないよう頑張るので教育係を続行してくれませんか?」
「これは出世のチャンスでもあるのよ? いいの?」
「はい」
念押しに彼はお手本通りの笑みを浮かべた。
「ふぅん、次のチャンスがあるって自信がたるんだ?」
「またお話を頂けると信じたいです。そして今は自分にとって最良の選択をした、それだけですね」
「あぁ、そう」
つれない声を出す。ついでにこの流れはストールの件を伝えるのに丁度いいか。
「借りていたストールなんだけど……」
言い掛けたその時、ポケットの中の携帯電話が震える。着信相手はーー外商部と表記された。
「主任ですか?」
「たぶん佐竹さんだと思う。はい、深山ですが」
佐竹さんの名を聞き、花岡君の表情が曇った。わたしを案ずる目つきで会話へ聞き耳を立てる。