外商部御曹司は先輩彼女に最上級のロマンスを提供する
(これ以上は言ったら駄目!)

 わたしは口元を覆う。

「真琴さん、今の精神状態で1から10まで並べ立ててもキャパオーバーすると思います。
 俺自身の事、それから俺を取り巻く環境もあなたに包み隠さず話すつもりはあります」

 小刻みに頷く。

「心からあなたが好きです。他の女性へ目移りなどしません」

 額、手の甲、つむじ、ついに唇へ誓いのキスが振ってくる予感がする。静かに目を閉じた。

「……一樹君」

「よく言えました。呼び捨てでいいですよ?」

「ううん、一樹君って呼びたい。いいかな?」

「いけないはずないでしょう?」

 もう1度呼んでと微笑む彼へ手を伸ばす。
 花岡君、いや一樹君と必ずこの苦難を乗り越えてみせよう。
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