落ちこぼれ悪魔の扱い方

父と楽しそうに話す美弥や、遊園地ではしゃぐ美弥、スーパーで駄々をこねる美弥。

それらはみんな映画の登場人物のようで、今の自分といまひとつリンクしない。


「少なくとも『また忘れたい』とは思ってない。でもそれは、まだ記憶に現実味がないからかもしれない」

美弥はすうっと息を吸って、「だから」と与崎の目を見ながら力強く言った。


「親父のこと忘れたままの方が幸せなのか、思い出した方が幸せなのか、それを知りたい。

思い出すのが耐えられないくらい辛かったら、与崎にまた記憶を消して間接的に真名川を殺してもらいたい。

だけどもし、もし思い出した方が幸せだったら」

息を使い果たし、美弥はもう一度深呼吸する。


「自分の手で復讐させてほしい」


与崎がピクッと眉を動かした。

やっぱりどんな感情なのか分からないまま、美弥は続ける。

「そこまでたどり着くのに時間はかかると思う。

……それでも、与崎は付き合ってくれる?」


告白みたいになってしまった。

でもそれを指摘する余裕は、美弥にもないし多分与崎にもない。
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