落ちこぼれ悪魔の扱い方
俺があのとき、口答えせずに千鶴の旦那を殺していたら。
千鶴が旦那から離れる助けを、少しでもできていたら。
彼女はきっと、死ななかっただろう。
『人を不幸にするような願いは叶えない』という自分ルールを杓子定規に守ろうとするあまり、千鶴の願いに添えなかった。
「俺は……どうすればよかったんだろうな」
空虚なモノローグがこぼれる。
亡骸になってしまった千鶴は何も答えず、ただ、静かに口を閉ざしていた。
千鶴の人生を終わらせてしまったが、与崎の仕事はまだまだ続いていく。
『幸せになってください』という千鶴の言葉は、ほんの気休めにもならなかった。
与崎はそれからも様々な依頼人の元を回った。
整形依存の舞台女優、リストラされた中年サラリーマン、病に冒された老齢の男性……。
誰一人として、幸せにはできなかった。